■要約

アクアライン<6173>は1994年に広島で創業した、水まわり緊急修理サービスを中心とする会社である。生活に欠かすことのできない「水」をテーマに、住環境の充実、生活の質の向上に貢献し、ステークホルダー(消費者、従業員、取引先、株主・投資家、社会)にとっての「FIRST BEST」であることを目指している。水まわり緊急修理業界は家屋の築年数経過などを背景に成長しており、同社は全国展開大手3社の一角を占める。“ブルーカラーをIT武装する”事業コンセプトのもと、既存の水道工事業者に対して様々な差別化を行い、サービスレベルを高めた。

1. 水まわり緊急修理市場とビジネスモデルの特長
水まわりの緊急修理の市場規模は約800億円と推定され、住宅の築年数増加による水まわり設備の老朽化などにより、緩やかな成長が続いている。プレーヤーとしては、地場の水まわり工事を行う工務店が高齢化などの要因で廃業が続いており、同社を含む全国展開大手3社が成長する構図である。

同社独自のビジネスモデルの特長は、“ブルーカラーをIT武装”し、サービスレベルと効率を上げている点である。

2. 業績動向
2020年2月期は、売上高が前期比3.6%増の6,008百万円、営業損失が17百万円(前期は183百万円の利益)、経常損失が18百万円(同184百万円の利益)、親会社株主に帰属する当期純損失が34百万円(同69百万円の利益)と増収減益の決算となった。売上高に関しては、3事業セグメントともに増加し過去最高売上を更新した。販売費及び一般管理費に関しては、広告宣伝費の増加(前期比218百万円増)の影響が大きく営業減益の主要因となった。特定の外部Web集客企業に依存していた体質を改善するのに約1年かかったが、自社での集客力を強化する良い機会になったと弊社では捉えている。また、2020年2月期の業績に新型コロナウイルスの影響は軽微であった。

同社では、2021年2月期の連結業績予想については、決算発表時点において新型コロナウイルスによる影響を合理的に算定することが困難なことから、未定としている。主力の水まわり緊急修理サービス事業では、プラス面とマイナス面の影響があると弊社では推測している。業績の季節変動がある同社の主力事業において、第1四半期(3月〜5月)は例年閑散期であり、進行期は例年以上に落ち込む可能性があると考える。一方で、基本的には、水まわり設備の経年劣化や水使用量にトラブル件数が比例する事業特性、夏と冬に需要が増える事業特性などから、第2四半期(6月〜)以降に十分カバーが可能であると予想する。

3. 中長期戦略
同社は、2020年3月末に(株)EPARKレスキューの株式を51%取得し、子会社化した。EPARKレスキューの持つインターネット広告及び生活メディア運営のノウハウを活用し、更なる入電件数の獲得と、効率の向上(入電コストの削減)を目指す。(株)EPARKは2007年に創業し、業種別ポータル予約サイト(現在25業種)を運営する同分野の有力企業で、EPARKレスキューはその一分野を受け持ち、生活救急サービスを検索できるポータルサイト「EPARKレスキュー」の運営、様々な検索ポータルサイトとの連携を実現した店舗・施設向けホームページサービス「ローカルプレイス(生活救急領域)」の広告販売を行っている。取得価額は594百万円。子会社化のスキーム上、設立は2020年3月6日と新しいが、業務実績は豊富であり、既に黒字化している事業体である。

4. 株主還元策
同社は株主への利益還元を重要課題としており、配当を実施している。配当の基本方針としては、必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当を行うとしている。2020年2月期は親会社株主に帰属する当期純損失34百万円と赤字を計上したことにより、期末の配当金は無配(0円)となった。2021年2月期の配当予想は未定である(新型コロナウイルスの影響)。

■Key Points
・水まわり緊急修理サービスは住宅の築年数が上がるなかで有望市場。“ブルーカラーをIT武装する”事業コンセプトで業界トップ3に躍進
・2020年2月期は増収減益。水まわり緊急修理サービスでの外部Webサイト企業経由の集客減が響く
・2021年2月期は現時点で未定。新型コロナウイルスによる影響はプラス・マイナス両面あり
・EPARKレスキューを連結子会社化。生活サービスポータル事業に進出

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 アクアライン Research Memo(1):EPARKレスキューを連結子会社化し、生活サービスポータル事業に進出