■要約

はてな<3930>は、2001年設立のインターネットサービス企業。Webサイト上にユーザーがコンテンツを作成・投稿し、他のユーザーが閲覧するUGC(User Generated Content)サービスで市場をリードしてきた。国内最大級のソーシャルブックマークサービス「はてなブックマーク」やブログサービス「はてなブログ」などの個人向けサービスとなるコンテンツプラットフォームサービスをベースに、その技術・ノウハウを活用した法人向けサービスとなるコンテンツマーケティングサービスやテクノロジーソリューションサービスへと展開している。

1. 2020年7月期第2四半期累計業績の概要
2020年7月期第2四半期累計(2019年8月−2020年1月)の売上高は前年同期比比0.6%減の1,248百万円、営業利益は同43.9%減の146百万円となった。コンテンツプラットフォームサービスにおいて2019年7月期下期以降、一部アドネットワーク事業者への一時接続ができなくなった影響が続き、広告単価下落により広告収入が減少したこと、また、費用面では今後の成長に向けた人材採用に伴い人件費が同8.1%増となったほか、データセンター(以下、DC)利用料も同11.6%増と増加したことが減益要因となった。ただ、注力分野である法人向けサービスについては順調に成長している。「はてなブログMedia」(オウンドメディアの構築・運用及びコンテンツ制作等)の契約数は前期末比24件増の99件と想定を上回るペースで伸びたほか、「Mackerel(マカレル)」(サーバー管理・監視サービス)の契約数も同14.8%増と拡大した(2015年7月期末を100とした場合の累積顧客指数による)。また、マンガビューワ「GigaViewer(ギガビューワ)」※の搭載数も1件増加し、合計で9件となった。

※GigaViewer:Webサイトでマンガを閲覧するためのソフトウェアで、ユーザーが快適に作品を楽しめるための各種機能を備え、また広告を掲載することでサービス提供者の運用コストを削減できるようになっている。


2. 2020年7月期業績見通し
2020年7月期の売上高は前期比10.3%増の2,781百万円、営業利益は同36.6%減の287百万円と期初計画を据え置いた。第2四半期までの進捗率は売上高で44.9%、営業利益で51.0%とおおむね順調に推移しているためだ。ただ、新型コロナウイルス感染拡大の影響がマイナス要因となる可能性がある。レジャー・サービス関連など一部業界の広告出稿意欲が冷え込でいるほか、セミナー・展示会の自粛により「Mackerel」など法人向けサービスの新規顧客開拓ペースが鈍化する可能性があるためだ。このため、売上高については計画から下振れする可能性があると弊社では見ている。一方費用面では、人員増員計画を当初の36名増から26名増に絞り込むなどコントロールしていく方針となっており、営業利益については計画の達成を目指していく。

3. 中期成長見通し
同社は今後2~3年の経営目標として、売上高で年率20%の成長を目指している。「はてなブログMedia」や「Mackerel」「GigaViewer」などの法人向けサービスの成長に加えて、個人向けサービスも、有料課金プランの取り組み強化や他社との提携による新たなサービス立ち上げにより、成長を目指していく。また、2021年7月期以降はDC利用料や人件費の増加ペースも緩やかとなる見込みで、増収効果によって利益率は上昇に転じるものと予想される。

■Key Points
・2020年7月期第2四半期累計業績は広告収入の減少と先行投資費用の増加により減収減益となるも、ほぼ会社計画どおりに進捗
・2020年7月期業績は新型コロナウイルス感染拡大の影響が変動要因となるが、利益は会社計画の達成を目指す
・中期成長見通しとして年率20%の売上成長を目指し、利益率は2021年7月期から上昇に転じる見通し

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 はてな Research Memo(1):先行投資費用やネット広告需要の冷え込みで減益見通しだが、法人向けサービスは順調