■業績動向

1. 2019年12月期業績
電算システム<3630>の2019年12月期決算は、売上高40,202百万円(前期比9.9%増)、営業利益2,268百万円(同36.0%増)、経常利益2,338百万円(同35.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,559百万円(同52.8%増)と4期連続での増収増益で着地し、売上高・各利益ともに過去最高を更新した。

2019年12月期第3四半期決算発表と合わせて、情報サービスセグメントにおけるソフト開発部門の利益率改善や情報処理サービス部門における業務効率化などを背景に、通期の各利益計画を、営業利益(1,810百万円→2,100百万円)、経常利益(1,850百万円→2,170百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益(1,228百万円→1,440百万円)へそれぞれ上方修正していたが、売上高(40,000百万円据え置き)及び各利益いずれも上方修正値を上回る好調な着地となった。営業利益率は5.6%となり、前期の4.6%から1.0ポイント上昇している。

2. セグメント別業績
(1) 情報サービス事業
情報サービス事業の売上高は22,724百万円(前期比17.0%増)、営業利益は1,623百万円(同57.3%増)となった。収納代行サービス部門との連携などにより、請求書作成代行サービス、各種ギフト処理サービスや、新たに大口のバックオフィスサービス獲得により売上げが好調に推移している。また、SI・ソフト開発及び商品販売において、オートオークション業向けシステム、地方公共団体向け業務システム、デジタルサイネージ(都営バス、東京メトロからの受注)及びG Suiteなどのクラウド関連サービスが好調に推移するなど、主力のSI・ソフト開発、情報処理サービスが利益をけん引する格好となる。営業利益率は7.1%となり、前期の5.3%から1.8ポイント上昇しており、期首計画値6.6%を上回っている。

SI・ソフト開発におけるGoogle事業については、Google(G Suite)導入企業数が前期比15.1%増の1,725社に拡大しており、順調に導入企業数が増えている状況。また、売上単価が上昇したことを背景にクラウド関連サービスの売上高は5,229百万円となり、同37.6%増と高い伸びを見せている。

情報処理サービスにおけるBPO事業については、処理件数が79,974千件となり、前期(81,493千件)から減少している。これについては、ギフト処理件数が減った影響のほか、収納代行とBPOとのセット(一式の場合は1カウント)による受注が増えるなど、売上構造変化による影響である。そのため、事業売上高については3,601百万円となり、前期比で14.5%増の成長となった。

(2) 収納代行サービス事業
収納代行サービス事業の売上高は17,477百万円(前期比1.8%増)、営業利益は635百万円(同3.1%増)となった。主力のコンビニエンスストア収納件数は、大型連休によるイベント消費に備えた買い控えや、大型台風など相次ぐ自然災害の発生による購入中止の影響により、通販等事業者先の収納件数落ち込みが影響した。そのため増収での着地ではあったが、期首計画を若干下回る格好である。営業利益率は3.6%となり、前期の3.6%から0.04ポイントの上昇にとどまっている。

一方で、地方公共団体先収納件数は順調に推移したほか、スマートフォン決済アプリ充実に努めた結果、通販等事業者、地方公共団体を含む新規取引先の獲得状況は計画を上回って推移した。スーパーマーケット及びドラッグストアチェーン店舗向けの収納窓口サービスにおいても、順調に増加している。

決済サービスにおける処理件数は前期比2.9%増の216,262千件だった。売上高は16,840百万円となり前期比1.7%増の伸びにとどまっている。キャッシュレス関連が当初想定よりも伸びておらず、新規契約先を増やすためにも、キャッシュレス対応を進める。また、受注は獲得できているが、大型案件のリードタイム(納品に至るまでの期間)が長期化している影響でもある。

決済イノベーションの状況については、収納窓口サービスの導入店舗が3,762店舗となり、「WILL CALL」という店頭対面型送金サービスの店舗が増加。なお、国際送金はまだ赤字が続いており、2021年あたりには単月黒字を見込んでいる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 村瀬智一)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 電算システム Research Memo(3):4期連続での増収増益で着地し、売上高・各利益ともに過去最高を更新