(1) 主な杭工法 a) TN-X工法 拡大根固めによって高支持力を発揮する工法。鋼管杭の内部に挿入したオーガスクリューを回転させ、土砂を掘削排土しながら杭を圧入する中掘り工法で、杭先端部には油圧拡翼ヘッドを用いて拡大根固め部を築造する。特長は靱性の高い鋼管杭を使用し最大17,900kN※(杭先端のみ/長期許容支持力)の高支持力が得られることである。施工に伴う発生残土量も低減できるなどコストパフォーマンスにも優れた工法で、物流倉庫、工場、集合住宅や商業施設、病院などに利用されている。
※kN(キロニュートン):荷重を表す単位。概ね10kN=1ton
b) ガンテツパイル工法 地盤にセメントミルク※を注入し攪拌・混合して造成される固化体(ソイルセメント柱)と外面突起付き鋼管から構成される合成杭によって、安定した高支持力と発生残土の低減を両立する杭工法である。特長は、地盤を有効利用して固化体を造成するため建設残土の発生を低減できること、地盤の土をその位置を動かさずにセメントミルクと攪拌して固化体を造成するため地盤を緩めず支持力性能に優れることである。道路や鉄道の高架橋、上下水道施設などに利用されている。
※セメントミルク:セメントと水を混ぜ合わせてできるミルク状のもの。
c) NSエコパイル工法 鋼管杭の先端に螺旋状の羽根を溶接した杭を、全旋回機などで回転圧入する工法。無排土工法で環境に優しい上、先端羽根の効果により高い引抜き性能を持つという特長がある。
(2) 主な地盤改良工法 a) テノコラム工法 スラリー※状にしたセメント系固化材を地盤に注入し、原地盤と機械的に攪拌混合することによって築造されるソイルセメントコラムを利用した工法。地盤を有効利用する環境に優しい工法で、戸建て住宅や集合住宅、大規模ショッピングセンター、中低層ビルなど様々な建築構造物の基礎としてだけでなく、液状化対策や円弧滑り防止など用途は多岐にわたる。阪神大震災や東日本大震災、熊本地震といった大地震の際、テノコラム工法を基礎に採用した構造物が無被害だったことから、同工法への信頼性が改めて高まっている。
※スラリー:前出した「セメントミルク」と同意。
b) ピュアパイル工法 埋立地や軟弱地盤の場合、地盤が家の重みに耐えられずに不均等に沈下する不同沈下を起こす可能性があり、不同沈下を防ぐには地盤にあった適切な地盤補強が必要となる。ピュアパイル工法は特殊なセメントミルクを地中でそのまま杭状に固化させる、戸建て住宅用の杭状地盤補強工法である。腐植土層を含め地盤の種別によらず高支持力を発揮するという特長がある。また、柱状改良工法に比べて杭1本当たりの強度が約3倍で施工時間が約半分とコストパフォーマンスがよく、さらに、施工時の掘削土砂排出量が極めて少ないため、環境に優しい工法と言うことができる。