■イグニス<3689>の事業概要

2. 新規事業の概要
(1) VR(エンターテインメント)
2016年11月にVR領域への進出を目的とした子会社パルス(株)を設立すると、秋元康(あきもとやすし)氏※1、松尾豊(まつおゆたか)氏※2、DaiGo氏などが資本参加し、各分野における第一人者との協業により革新的な価値創造を目指している。

※1 作詞家、放送作家、映画監督、漫画原作者。AKB48グループ、乃木坂46、欅坂46などのプロデューサーとして、ほぼすべての楽曲の作詞を行っており、番組の企画構成やドラマの脚本なども手掛ける。
※2 東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻の特任准教授。専門分野は、人工知能、Web工学、ディープラーニング。


具体的には、エンターテインメント分野と医療分野にかかる研究開発及び事業化を推進。エンターテインメント分野では、これまでにない次世代の音楽ライブの体験を実現すべくバーチャルライブプラットフォーム「INSPIX」※1の開発と、そのVRプラットフォーム上でパフォーマンスを展開するバーチャルタレント等のIP創出を進めており、システムとコンテンツ双方を保有する垂直統合型の運営を目指している。IP創出については、第1弾としてVRアイドル「えのぐ」のプロジェクト※2を立ち上げると、2019年5月には芸能プロダクションを設立※3し、タレントの発掘・育成・プロデュースに向けて本格的な体制を構築した。VRアイドルに限らない複数のプロジェクトが進行中であり、SNS等の累計フォロワー数(ファン数)も47万人(2019年10月末)に急拡大している。一方、VRプラットフォームについても、いよいよフェーズ3(最終形)となるバーチャルライブアプリ「INSPIX LIVE」を2019年8月13日にリリースし、同年8月23日にはVRアイドル「えのぐ」のバーチャルライブを開催した。今後は、ソーシャル機能を付加した「INSPIX WORLD」へと進化(大型アップデート)させる方向性であり、市場の大きな中国への展開も視野に入れている。

※1 高価なVR-HMDに依存せず、様々なデバイスに対応し、参加者が自宅からでもバーチャルライブに参加できる次世代音楽ライブ体験スマートフォンアプリである。
※2 「INSPIX」の活用により、業務提携先である(株)岩本町芸能社(VRタレントのマネジメントを専門とする世界初の芸能事務所)に所属するVRアイドルグループ「えのぐ」の初オリジナル曲をYouTubeにてライブ配信すると、2018年8月10日には初の本格ライブにも成功。2018年11月28日にはユニバーサルミュージック(同)からのメジャーデビューを実現した。
※3 連結子会社パルスの子会社として(株)VOYZ ENTERTAINMENTを設立(同社にとっては孫会社)、VRでの活動のみならず、その他オンライン・オフラインでの活動も視野に入れた二次元と三次元のタレントをマネジメントする芸能事務所で、既に80名(研修生含む)の男性タレントが所属している。


(2) VR(医療)
医療分野については、2016年12月より順天堂大学教授とのVR技術応用(主に痛み緩和効果への応用など)に関する共同研究を進めている。2019年6月11日に本プロジェクトに関するプレスリリースが発表され、それによると、順天堂大学との共同研究に関する特許出願と『VRを用いた慢性疼痛の緩和』システムのパイロット提供を開始している。

(3) IoT
2015年11月に持分法適用関係会社としたIoTベンチャー(株)ロビットとの連携を軸として、スマートフォンアプリを通じて培ってきた体験設計のノウハウとIoT関連テクノロジーを活用した新たな製品及びサービスを展開しており、2016年7月にロビットのブランドで販売を開始したスマートフォン連動型カーテン自動開閉機「めざましカーテンmornin’plus」※が着々と販売数を伸ばしている。

※「めざましカーテンmornin’plus」は、取り付けが簡単な上、スマートフォンと連動させてタイマーを設定するだけで設定した時刻にカーテンが開閉するアイデアIoT家電(目覚まし装置)。


また、2016年2月に設立した(株)Mellow※1により「TLUNCH」(モビリティビジネス・プラットフォーム)も展開している。本件は、「活用されていない空地」と「フードトラック事業者」※2をマッチングさせ、シェフのこだわりの料理を提供するものである。

※1 成長に向けた資本政策上の理由により、2018年9月期第4四半期より連結子会社から持分法適用関連会社へと移行した。
※2 専門店のシェフが移動販売車で出来立ての料理を提供する新しい飲食業態。


(4) その他
新規分野として、「mornin’ plus」を手がけるロビットがAI技術を活用した自動外観検査ロボット「TESRAY」及びピッキングソリューションの開発を進めるほか、オンライン診療対応の医療機関向けSaaS「FOREST」※の開発・提供にも注力している。

※規制緩和が進められている領域であり、オンライン診療により、病院に行かなくても診察を受けたり、処方された薬を自宅で受け取ったりできるなど、将来を見据えた事業として開発を進めている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)




<ST>

情報提供元: FISCO
記事名:「 イグニス Research Memo(3):次世代の音楽ライブを実現するVR・エンターテインメント分野が本格始動(2)