■今後の見通し

CAC Holdings<4725>は、2018年12月期を初年度とする中期経営戦略「Determination 21」を取締役会での徹底的な議論のもとブラッシュアップし、2019年2月に再公表した。いくつかの施策が公表に先行して実行に移されていることからは、同社の本気度がうかがえる。

経営環境変化に伴う見直しと戦略の明確化が図られた結果、更改版中期経営戦略では、1)経営と執行の分離によるガバナンス強化、2)意思決定の迅速化による機動的な事業遂行、3)資本効率改善と株主還元の強化、4)株主との価値共有促進、という4つの基本方針が策定された。また、最終年度(2021年12月期)の数値目標は売上高700億円、営業利益40億円が据え置かれ、資本効率を図る指標として新たにROE8%が追加されている。

4つの基本方針に沿っていくつかの施策が既に実行に移されている。まず、1)については、2019年度は取締役の数を8名(うち社外取締役3名)から5名(同)へと削減、社外取締役が過半を占める取締役会で方針や戦略の決定や業務執行の監督を行う体制へと改められた。同時に取締役会の方針に沿った業務執行に専念する執行役員5名が任命されている。2)については、2019年初から5名の執行役員が、5つの事業ドメイン(コアICT領域、中国領域、インド領域、ヘルスケア領域、未来領域)の責任者として機動的な事業遂行に取り組んでいる。

また、3)については、持続的な利益成長を目指しつつ、増配(2018年12月期実績38円/株→2019年12月期予想50円/株)と自己株取得強化(2019年12月までの取得上限は300万株ないし30億円、9月30日までに931,600株、14億円強を取得済)を実施、4)については、譲渡制限付株式報酬制度の導入やIR活動の積極化を行っている。

そして2019年9月、Mitrais買収による海外M&Aの再開やリクルート株の大量売却といった大きな意思決定が行われた。取締役会は複数のKPI(Key Performance Indicator、重要業績評価指標)をモニターしつつ、意思決定と監督を行い、徹底的な議論を行っているという。新たな体制のもとでの意思決定・業務遂行が収益性向上という成果につながるか期待を持って見守りたい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田吉弘)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 CACHD Research Memo(8):ブラッシュアップされた中期経営戦略、その成果に期待