■今後の見通し

3. 中期経営計画
システムインテグレータ<3826>は3ヶ年の中期経営計画最終年度となる2021年2月期の経営数値目標として、売上高で5,200百万円、経常利益で753百万円を目標として掲げている。現在の旺盛な受注状況などから、売上高はほぼ射程圏に入っている模様で、開発リソースさえ確保できれば上振れする可能性もある。一方、経常利益は前述したように開発効率の改善が想定以上に進んでおり、1年前倒しで目標を達成する可能性も出てくると弊社では予想している。

同社は今後も主力3事業それぞれで年率2ケタ台の増収増益を目指し、「TOPSIC」や「AISI∀」シリーズなど新規事業を育成しながら、経常利益率で15%を目標に事業を拡大していく方針となっている。目標を達成していくための重点戦略として、以下の5つに取り組んでいく。

(1) 既存事業のシェア拡大
主要3事業のうち、Object Browser事業は「SI Object Browser」シリーズを安定収益源として、「OBPM」のIT業界でのシェア拡大並びに製造業など他業種での需要掘り起こしを進め、また、「OBDZ」と「AISI∀-DR」の連携による販売強化により更なる成長を目指していく。また、E-Commerce事業はECサイト構築パッケージ「SI Web Shopping」をコアシステムとして、ECを取り巻く各種サービスとの連携によるECエコシステム戦略を推進していくことでシェア拡大を図り、ERP・AI事業については「GRANDIT」のアドオンモジュール機能強化やRPAツール等も活用した新たな付加価値提案と、サブスクリプションモデルの提供開始によってシェア拡大を図っていく。

(2) 海外拠点の確立
ERP・AI事業やE-Commerce事業の開発力増強を図るため、2021年を目途にベトナムに開発拠点を開設すべく準備を進めている。2017年からベトナムのダナン国立大学と連携し、同大学卒業生の採用(年間2名ペース)を続けているほか、国内でもベトナム人の中途採用を行っており、2019年10月時点で6名のベトナム人エンジニアが在籍している。最終的には20人程度まで増員し、ベトナムの開発拠点でERPやECサイトの開発を分担していくことになる。現在、国内のエンジニア人員は150名(うち、29名は研究開発部門)で、外注比率は約5割となっているが、ベトナムに開発拠点を作ることで受注能力を拡大する。また、2019年からベトナム現地企業とパートナーシップを組み、自社製品の開発委託も一部で始めている。

(3) AI事業の確立
同社は2017年からAIの研究とAIサービスの開発に着手し、現在、ディープラーニング異常検知システム「AISI∀-AD」の営業活動を開始しているほか、システム設計書のリバースエンジニアリングAIサービス「AISI∀-DR」やフリーミアム(無料)モデルの企業情報収集サービス「AISI∀-CL(Company List)」等を開発し、サービス開始に向けた準備を進めている。中期経営計画の中にはこれら新サービスの売上を織り込んでいないが、将来的には新たな収益の柱に育つ可能性が高く、今後の展開が注目される。

(4) 社員のスキル向上
同社は「社員全員が一流の技術者」であることを社是として掲げており、この方針のもと2017年より社員教育に関する投資を積極的に実施してきた。「TOPSIC」も社員のプログラミングスキル向上のために活用しており、今後も社員に対する教育投資は継続して行っていく方針となっている。

(5) 国内TOPの合理化企業
RPAの活用による業務効率の向上や、各種システムツールによる情報活用等により、国内TOP水準の「合理化企業」を目指している。また、「OBPM」や「GRANDIT」、RPAツール等を社内で活用し、自社をモデル企業化して合理化のノウハウをユーザーに提供していくことで、これら製品・サービスにおける新規顧客の獲得につなげている。


「働き方改革」の先進企業として多方面から高い評価を受ける
4. 働く環境への取り組みについて
同社は社員の働く環境の改善に積極的に取り組む企業として、高い評価を受けている。具体的には、育児・介護が必要な社員を対象とした在宅勤務制度を2007年より導入しているほか、育児休業社員の復職率100%、有給休暇取得率78.3%、法定外平均残業時間7.4時間/月といずれも業界平均を上回る水準を実現している(過去5年平均)。こうした取り組みが評価され、2012年に「多様な働き方改革実践企業」(埼玉県)のゴールド認定を取得したほか、2017年には「テレワーク先駆者百選」(総務省)に選定され、2019年2月には「子育てサポート企業(プラチナくるみん)」(厚生労働省)の認定も取得している。

IT業界で人手不足が深刻化するなかで、同社はこうした取り組みが学生等からも評価され、比較的順調に優秀な人材の採用ができているほか、離職率も約5%とIT業界の中においては高い定着率を誇っている。人材採用については、2018年春の新卒社員数が7名だったのに対して、2019年春は12名に増加した。2019年8月末の従業員数は中途採用も含めて前期末比21名増の195名とほぼ予定どおりの増員となっている。2020年春の新卒採用数も12名を予定している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 SI Research Memo(8): 2021年2月期に売上高5,200百万円、経常利益753百万円を目標に掲げる