■業績動向

1. 2019年6月期の業績概要
2019年8月14日に発表されたAbalance<3856>の2019年6月期の連結業績は、売上高で前期比18.0%減の5,984百万円、営業利益で同34.4%減の608百万円、経常利益で同35.2%減の566百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同58.2%減の316百万円となった。主力のグリーンエネルギー事業において、2018年6月期の収益が2017年6月期からの一部案件の繰越計上(完成・引渡基準)により上振れしたこと、また、2019年6月期から事業構造をフロー型からストック型にシフトし(発電所の売却収入→自社保有による売電収入+O&M収入)、発電所の販売を抑制したことが減収減益要因となっている。会社計画比で見ると、売上高は発電所の売却を抑えたことで18.3%下回ったものの、営業利益は一部のソーラー分譲において、工事費やソーラーパネル及び付帯設備機器等のコスト圧縮が想定以上に進んだ結果、計画を18.8%上回り着地した。また、経常利益についても計画比で0.7%増と若干上回った。

事業セグメント別の収益動向を見ると、グリーンエネルギー事業は売上高で前期比20.5%減の5,177百万円、セグメント利益で同28.2%減の931百万円となった。ただ、利益率は18.0%と業界平均(約10%)を上回る水準を確保しており、ここ数年では2018年6月期に次ぐ収益水準となっている。

建機販売事業の売上高は前期比15.6%減の595百万円、セグメント利益は2百万円(前期は75百万円の損失)となった。売上高は国内向けの低迷により減収となったものの、バングラディッシュ等の東南アジアへの販売・レンタルリースが伸びたほか、経費削減に取り組んだ効果により4期ぶりに黒字を確保した。

IT事業の売上高は前期比111.7%増の172百万円、セグメント利益は同658.4%増の62百万円と大幅増収増益となった。働き方改革への取り組みが進むなかで、官公庁その他向けに業務効率向上ツールの「Knowledge Market」、RPAツールの「Robowiser Framework」等の受注が好調に推移したことが主な要因だ。

なお、その他として2019年6月期の第3四半期に連結子会社となった日本光触媒センターの売上高38百万円、セグメント損失20百万円を計上している。


自社保有発電所の取得により有形固定資産が増加
2. 財政状態と経営指標
2019年6月期末の資産、負債及び純資産の状況を見ると、総資産は前期末比3,796百万円増加の10,985百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産は現金及び預金が197百万円増加、受取手形及び売掛金が57百万円増加したほか、販売用不動産が369百万円増加し、商品及び製品が155百万円減少した。また、固定資産は発電所の建設・取得等にともない建設仮勘定1,330百万円、機械装置及び運搬具1,083百万円の増加等により有形固定資産が2,782百万円増加したほか、投資その他の資産が170百万円増加した。

負債合計は前期末比3,580百万円増加の8,952百万円となった。流動負債では未払法人税等が143百万円減少した一方で、前受金が688百万円、買掛金が122百万円増加した。固定負債では、長期借入金及び社債が639百万円増加したほか、長期未払金896百万円や長期割賦未払金1,342百万円を計上した。また、純資産合計は前期末比216百万円増加の2,032百万円となった。配当金で85百万円、自己株式の取得で20百万円を支出した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益316百万円を計上したことが増加要因となっている。

経営指標を見ると、自己資本比率は前期末の24.6%から17.9%となったが、これは自社保有発電所の取得を進めていること、それにともない角田のメガソーラー発電所プロジェクトが始動したこと等により有形固定資産が増加したこと等が主な要因だ。今後も国内では自社保有による売電事業にシフトしていく方針のため、高採算な自社保有を順次積み上げていくことができれば、キャッシュフローの改善や再投資への循環を図ることができ、会社としてもそのための安定収益源として、自社保有とO&M事業を捉えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



<MH>

情報提供元: FISCO
記事名:「 エーバランス Research Memo(4):2019年6月期は減収減益となるも、営業利益、経常利益は会社計画を達成