■今後の見通し

2020年6月期見通し
マーケットエンタープライズ<3135>の2020年6月期については、売上高10,000百万円(前期比18.0%増)、営業利益600百万円(同32.7%増)、経常利益602百万円(同32.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益270百万円(同32.5%増)と大幅な増収増益を予想している。売上高は3事業すべて増収を見込み、創業以来14期連続増収で100億円の大台をついに突破するもよう。利益面は来期以降の成長につながる先行投資を適宜実施しながらも過去最高益を更新する見通しだ。

同社は業績予想については事業別内訳を公表していない。ネット型リユース事業については、2019年6月期同様、前期比2ケタ増収が基本シナリオになると弊社ではみている。2019年6月期は法人向けの農機具がけん引役となったが、その勢いが今期も続くかどうか、また、医療機器や建機が本格的に伸びてくるのか、が注目点だ。また、「おいくら」への送客によるシナジー効果がどの程度増大するかも注目だ。以上のような要素を考えれば、今期も前期並みの10%増収は十分可能だと弊社ではみている。

メディア事業は、伸び率としては前期の急伸との比較において鈍化することは避けられないが、増収額としては前期並みを確保する可能性は十分あると弊社では考えている。PV数の順調な増大により、外部売上(広告収入)は1億円の大台に乗る可能性は十分あるとみている。ネット型リユース事業や通信事業との内部取引も拡大方向にあるため、セグメントのグロス売上高(内部取引も含んだ売上高)は3億円~4億円に達する可能性が高いとみている。

通信事業は、2019年6月期の期末には、保有回線からのストック収入が1億円を超えた。したがって2020年6月期は月次ストック収入が1億円からスタートし、期末にかけて毎月それが拡大する形となる。仮に前年同月比のストック収入が毎月平均して50百万円多いとすれば年間で6億円(50百万円×12ヶ月)の増収となる。30百万円としても3.6億円の増収で、これに新規の回線販売や格安SIMサービスの伸長などを考慮すれば、通信事業の売上高は25億円~30億円のレンジに入る可能性が高いとみている。

一方、利益面では、2020年6月期の予想営業利益率は6.0%と、2019年6月期実績の5.3%から0.7%ポイント改善する予想となっている。同社のネット型リユース事業は、販売店舗を持たないため売上高の伸びに比べて費用の伸びを低く抑えることが可能だ。2017年6月期~2018年6月期に戦略投資を終えて2019年6月期から回収期に入った同社が、2020年6月期に営業利益率を6.0%に改善させるという業績予想には十分説得力があると弊社では考えている。

大がかりな戦略投資は一旦終了したとはいえ、成長投資案件は常に存在しており、2020年6月期もいくつかの投資を計画している。その1つは前述した新たな買取拠点の設置だ。それ以外では、システム投資がある。この点はネット型リユース企業としては避けて通れない領域だ。前述のように今期は「おいくら」との連携強化などに投資を行うとみられる。また、M&Aについても、魅力的な案件が出れば積極的に検討していくとみられる。M&A以外については業績予想に織り込み済みとみられ、投資に伴う業績への影響は小さいと弊社では考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 マーケットE Research Memo(8):3事業の順調な拡大が続き、売上高・利益ともに過去最高の連続更新の見通し