■今後の方向性

イグニス<3689>は、2020年9月期を最終年度とする中期経営計画を推進しており、ミッションである「次のあたりまえを創る。何度でも」に基づき、「創造力と技術力が高い次元で融合した組織」を目指すことを基本方針としている。既存事業である「コミュニティ」「ゲーム」において、それぞれの維持・強化を図る一方、新たに「VR事業(エンターテインメント分野と医療分野)」「AI関連・検査工程自動化」「オンライン診療対応の医療機関向けSaaS」等の複数の事業を順次立ち上げ、2020年にはすべて収益事業化することを目指している。また、事業ポートフォリオの充実を図ることにより、キャッシュ・フローのエコシステムを創り出すとともに、様々な環境変化にも対応できる事業構造へと進化を図る。「ぼくとドラゴン」を中心とした「ゲーム」依存から脱却しつつ、「with」を含めた積み上げ型事業により強固な事業基盤を確立する一方、爆発力のある事業の推進による成長加速を目指す。

最終年度である2020年9月期の目標として、売上高150億円、営業利益60億円(営業利益率40%)を掲げており、特に、市場が拡大している「with」とVR事業(エンターテインメント)を大きく伸ばす計画となっているが、今回の業績予想修正の中で2020年9月期計画の見直しを図っている(精査中)とされている。弊社では、ゲーム事業が低調に推移していることから、中期経営計画の達成は難しい状況になってきたものの、コミュニティ事業の成長とVR事業(エンターテインメント)の収益化という基本的な方向性に変化はないと見ている。特に、海外を含め、潜在的な市場規模の大きいVR事業(エンターテインメント)が他に類を見ない価値提供(スマートフォン対応による利便性やコストパフォーマンスの高さ、スペックや機能の充実など)によりどのくらいの積み上げができるかがポイントになるだろう。また、検査工程自動化(AI関連)やVR事業(医療)、オンライン診療対応の医療機関向けSaaSなど、これまで取り組んできた新規事業の収益化に向けた道筋にも注目したい。


■株主還元

配当による株主還元はしばらく見送りとなる公算
同社は、財務体質の強化と事業拡大のための内部留保の充実を図ることが重要であると考え、過去において配当の実績はない。2019年9月期も無配を予定している。弊社では、これから本格的な成長ステージに入っていくとする同社の成長戦略から見て、配当による株主還元はしばらく見送られる公算が大きいと見ている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 イグニス Research Memo(6):積み上げ型事業の強化(安定運営)と、爆発力のある事業の推進を図る