■業績動向

1. 2019年6月期業績
(1) 全社
2019年6月期の全社業績は売上高4,892百万円(前期比29.2%増、計画比11.0%減)、営業利益1,071百万円(前期比11.9%減、計画比28.6%減)、経常利益901百万円(前期比24.5%減、計画比39.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益629百万円(前期比41.3%減、計画比58.0%減)となった。

フィンテック事業において前期ほどの大型案件の受注には至らなかったこと、新たな成長に向けた新規事業構築や人材に関する費用がかさんだこと、有価証券評価損などを計上したことなどもあり、計画は未達であった。

しかし、子会社における専門性の高い付加価値サービスの提供、開発案件による原価構造の改善を始め、業務効率の改善、外注費や広告宣伝費等の適正な運用が進み、すべてのセグメントで増収増益を達成した。事業基盤、収益基盤は着実に強化されている。

(2) 事業別
コンシューマー・サービス事業では、「感謝経済」プラットフォームの構築に注力しながらも、マレーシアに設立したグループ会社OKfinc LTD.によるブロックチェーン導入・運用コンサルテーションの提供、並びにオウケイウェイヴ<3808>がQ&Aサイト「OKWAVE」の運営で培ってきたノウハウに基づくマーケティングサポートの継続的な提供により、堅調に推移した。この結果、売上高は718百万円(前期比6.5%増)、セグメント利益は150百万円(同996.5%増)と増収増益となった。

エンタープライズ・ソリューション事業では、FAQシステム「OKBIZ.」や企業向けAIなどの製品導入の際の初期構築費と月額利用料にて構成する、いわゆる「サブスクリプション」のビジネスモデルであり、継続利用により月額収入を安定的に得るための仕組みである「リテンションビジネス」体制を独自ノウハウにて構築している。2019年6月期は主力製品「OKBIZ.」やAI製品などの新規受注が堅調に推移し、特に2019年6月期の成長戦略であるパートナービジネスを通じた間接販売の拡大により、大きく伸長した。この結果、売上高は1,842百万円(前期比 32.7%増)、セグメント利益は906百万円(同21.6%増)となった。

インバウンド・ソリューション事業では訪日観光振興や東京五輪、万博開催決定等を追い風とした訪日外国人客の増加により、行政機関や地方自治体、医療分野、鉄道などの案件が増加している。これにより多言語コンタクトセンターの基幹サービスである電話通訳や、通訳業務委託の新規受注など、堅調に本業の成長を図ることができた。この結果、売上高は846百万円(前期比37.1%増)、セグメント利益は209百万円(同26.7%増)となった。

フィンテック事業では企業・団体からの受託により、グループ会社のOKfinc LTD.がブロックチェーンの戦略的設計を行い、同じくOK BLOCKCHAIN CENTRE SDN.BHD.がシステムの開発を行っている。また、OKプレミア証券(株)による、顧客の資産運用サポートも行っている。2018年6月期同様、ブロックチェーン・ベースのシステム開発案件を継続的に受託し、伸長した。この結果、売上高は1,484百万円(前期比34.3%増)、セグメント利益は1,048百万円(同0.6%増)となった。

2. 財務状況と経営指標
財務状況を見ると、(株)LasRootsを新たに連結対象にしたことで、数値が大きく変わっている。

資産の科目を見ると、「証券業における短期差入保証金」、「証券業における信用取引資産」及び「仮想通貨」等の資産が計上されたこと、並びに「受取手形及び売掛金」及び「投資有価証券」が増加し、「のれん」及び「テクニカルライセンス」が計上され、12,668百万円(前期末比9,447百万円増)となっている。

負債は「証券業における受入保証金」、「証券業における信用取引負債」及び「預り仮想通貨」等の負債が計上されたこと、並びに「未払金及び未払費用」、「短期借入金」が増加し、「転換社債型新株予約権付社債」が計上されたことで8,894百万円(前期末比8,273百万円増)となっている。

純資産は、主に「資本剰余金」が減少したものの、「資本金」及び「利益剰余金」の増加により3,774百万円(前期末比1,173百万円増)となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 内山 崇行)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 OKウェイヴ Research Memo(4):2019年6月期は計画未達も全セグメントで増収増益、基盤強化に成功