a) 国内リサーチ事業 国内リサーチ事業の売上高は4,831 百万円(期初予想比2.4%減、前年同期比8.0%増)となった。国内リサーチの市場は2%超の成長と堅調だが、同社を含み大手上場リサーチ会社は8~10%とより高い成長となっている。これは、ネットリサーチでは常に新しい技術が必要なためシステム投資や運用に多額の資金がかかること、中小リサーチ会社を中心に代替わりの時期に入っていることなどから、上位集中が進んでいることが背景にあると見られる。同社はそうした環境の中で規模や組織面で基盤を確立しつつある。営業体制の強化やデジタルマーケティング・ビッグデータ領域などを含む新サービスの開発・提供により、一部に低迷する事業会社もあったが、調査会社・広告代理店などを中心に受注が増加、医療系調査もグローバル案件対応強化など外資系への積極的な営業展開も奏功し、業績を大きく伸ばすことができた。
b) 海外リサーチ事業 海外リサーチ事業の売上高は2,015百万円(期初予想比19.6%減、前年同期比23.8%減)となった。海外の事業会社の業績は、リサーチ会社の賞を獲得するなど堅調に推移する拠点がある一方で、複数拠点において業績が低迷した。中でも米国を中心にグループで受注し第2四半期に期待していた大型案件の売上計上が、案件のスタートに時間がかかったため、当初予定から下期以降に期ずれして今期中の投資回収が難しくなった。また、英国やインドネシア、シンガポールでは、買収後の組織体制の変化などにより足元の業況が不安定化している。以上から、保守的な観点から構造改革を加速し、Kadenceののれんを一気に減損したのである。精査が残るエリアもあるが、ガバナンスについては大きく前進したと考えられる。なお、大型案件については、消滅したわけでなく、また、毎期何らかの案件を獲得できているため、一定の期間で考えれば大きな影響にはならないと思われる。