ITソリューションでは、上場ネット証券会社の保有する口座において同社開発のアプリが高いシェアを占めるなど、証券会社を中心に金融業界で多数の開発・運用実績を残している。こうした実績を背景に、カード会社やネット銀行などへと営業を拡大している。また、アプリの提供だけでなく顧客企業にIT人材も提供し、継続性のある運用系の仕事も取り込んでいく考えだ。このため、WebやECに特化した人材紹介・派遣を行っているサポタント(株)を子会社化し、顧客向けに開発したWeb/ECサイトの運用や保守の人材を派遣しており、顧客の利便性につながっている。なお、サポタント株取得の理由は、ECサイト構築のニーズが強まっていることにあるが、ITエンジニアの人材不足への対応や生産性向上を目的に、教育・育成スクールを立ち上げることも計画している。就業者へのフォローアップや受入れ先企業向けセミナーの実施も、併せて行う予定である。また、グループ会社の(株)クロス・ベンチャーズから、ユーザーが店頭に近づくとプッシュ通知など効果的なアプローチをする、OtoO(Online to Offline)サービス「AI Beacon(エーアイビーコン)」を開発する(株)アドインテに出資した。同社既存顧客へのサービスとして実店舗などに実装する計画である。このようにITソリューション事業では有力な案件が多く、今後も高い伸びを見込んでいる。
(3) 海外リサーチの取り組みはやや変わった 2019年12月期第2四半期において、国内の事業はおおむね計画どおりに進捗したが、海外リサーチ事業については修正が入ることになった。期初、Kadenceの構造改革を進めながら、米国(ニューヨーク)やアジア未進出エリアへの着実な拠点展開と、アジア英語圏でのBPO(Business Process Outsourcing)拠点やR&Dセンターを開設などインフラ基盤強化による原価低減と能力増強を進める予定だった。しかし、こうしたやや強気の戦略の反面、Kadenceの第2四半期の業況が芳しくなく、海外戦略の基本方針は変わらないものの、Kadenceの構造改革を一段と強化することになった。