■今後の見通し

3. SMBCグループとの業務提携
2019年7月に三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)との業務提携を発表した。両社のノウハウを掛け合わせ、新たな金融サービスの開発・業務高度化を促進することが狙いとなっている。SMBCグループ側から見れば、グループ各社におけるデジタライゼーションを進めるなかで、データ分析精度の向上やデータシェアリングを実現すること、また、データを起点とした新規事業のシード発掘(プロダクトの共同開発を含む)やデータ分析ノウハウを習得すること等が提携目的となっている。

一方、ALBERT<3906>から見ればSMBCグループに対してデータシェアリング・分析支援を行うことで、金融セクターの実務知識、ノウハウを蓄積できるほか、金融関連領域におけるプロジェクト受託に裾野を拡大していくことが可能となる。また、SMBCグループとのプロダクトの共同開発や他のCATALYSTパートナーとの連携についても模索していくことが可能となり、CATALYST戦略によるAIネットワーク化社会の実現に向けて一歩前進することになる。既に、数件のプロジェクトがスタートしているが、SMBCグループは主要子会社だけでも銀行、信託銀行、証券、カード、ファイナンス&リースなど多岐に広がっており、中期的に同社業績への貢献度も大きくなるものと見込まれる。また、SMBCグループへのデータサイエンティスト養成講座も提供していくことも予想される。


CATALYST戦略の推進によりAIネットワーク化社会の実現と非連続な成長を目指す
4. CATALYST戦略について
同社は成長戦略としてCATALYST戦略を打ち出している。今後のAIネットワーク化社会の到来に向け、各産業間でのAI・データシェアリングの連携が必須とされる一方で、現在は異業種間で保有するデータが異なる(データ構造や情報セキュリティレベル等)ため、データがもつ価値を十分に活かしきれていない状況といえる。こうした課題に対して、同社が触媒機能としてそれぞれ異なる産業に属する企業間に入り、AI・データシェアリングを目的としたデータ分析及びアルゴリズム開発を行うことによって、データがもつ価値を最大限に高め、AIネットワーク社会を実現していく。CATALYST戦略を推進していくためには、AI分野における高水準の技術力を持つことが必須となるが、同社では先端技術の研究を継続的に行っており、顧客が求める要求水準に応えていることが強みとなっている。

同社はCATALYST戦略の事例を多く積み上げていくことで成長を加速していくほか、自社開発または提携先企業と共同開発したプロダクトをIP化し、他の企業に提供(手数料収入あるいはライセンス収入の増加)することによって利益率の一段の向上を図り、非連続な成長を目指していく戦略となっている。

CATALYST戦略の第1弾として2018年10月に発表した「自動運転」をテーマとしたトヨタ自動車(Toyota Research Institute-Advanced Development, Inc.含む)と東京海上日動火災保険のプロジェクトに関しては、現在も継続して進んでいる。今後は「自動運転」をテーマに深掘りする新たな企業との業務提携や、その他のテーマによるCATALYSTの形成に取り組み、複数社間・異業種間にまたがるネットワークをさらに拡大していくことで、需要を創出していく方針だ。

重点産業分野で主要パートナーとなる企業とは、資本業務提携を前提に交渉を進めていく方針となっている。2019年8月までに自動車、通信、金融で資本業務提携を実現しており、今後は流通業や製造業(自動車除く)における大手企業との資本業務提携も進めていく予定となっている。出資の際に必要となる株式については、KDDIや東京海上日動火災保険のケースと同様、筆頭株主であるウィズ・アジア・エボリューションファンド投資事業有限責任組合が売り出すものと想定される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 ALBERT Research Memo(7):SMBCグループと業務提携、データシェアリング・分析支援サービスを提供