■みらかホールディングス<4544>の今後の見通し

3. セグメント別による2020年3月期事業計画
(1) 受託臨床検査(CLT)事業
CLT事業のセグメント売上高は1,195億円、営業利益95億円を計画している。売上高については、価格下落影響1.5%を想定するも、遺伝子関連検査の拡充、新規項目の導入推進、既存項目の拡販強化を進める。新規では、開業医向けにITを活用した付加価値サービスの提供や、外部サービスとの連携強化、顧客サービス向上のための地域拠点の拡充を進める。院内関連では富士レビオとの共同提案を継続。健診関連では企業健保との接点を活用した顧客基盤の拡大を進める。

利益面については、AI(人工知能)/RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)活用及び業務の抜本的見直しによる合理化の加速。また、集荷物流機能の分社化により、他社との連携を模索する。一方、減益要因として、アジア展開のための先行投資による影響を約7億円見込んでいる。

(2) 臨床検査薬(IVD)事業
IVD事業のセグメント売上高は429億円、営業利益63億円を計画している。売上高については、国内ルミパルス事業の拡大に引き続き取り組んでいくとしており、大型機の新規設置を継続するほか、新規項目開発を加速させる。一方で、日赤事業の契約終了等による影響もあるため、国内ルミパルス事業において約40億円の減収を見込んでいる。

海外ルミパルス事業についてはアジアを中心とした販売体制を強化。中国・平安保険グループとの合弁会社を通じた中国市場での拡大を進める。そのほか、OEM・原材料事業の拡大としては、米国・欧州の子会社において人員増強や設備投資を進めていく。

利益面については、国内ルミパルス事業の増収に伴う増益を見込む一方、日赤事業の契約終了及び大口顧客獲得に向けた先行投資により、国内事業の減益は約30億円。なお、日赤事業関連の人員は国内事業及び薬事強化のための配置転換で吸収する。そのほか、欧米子会社におけるOEM事業の強化で約7億円減を見込んでいる。

(3) 滅菌関連(SR)事業
SR事業のセグメント売上高は200億円、営業利益13億円を計画している。売上高については、全面受託化を推進するほか、事業規模と人員数の適正を図るとともに滅菌センターの運用の拡充を図り、効率を上げていく。利益面については、センター運用の抜本的な見直しに伴う損益改善のほか、業務効率改善、院外施設の新設など収益性改善のための投資を実行させていく。

(4) 新規育成(ENB)事業
ENB事業のセグメント売上高は86億円、営業損失は4億円を計画している。食品・環境・化粧品検査事業は6月より営業開始、さらにグループ会社((株)日本食品エコロジー研究所)との連携による垂直立ち上げを行う。在宅・福祉用具事業は、訪問看護事業の面展開を加速。CRO事業は事業強化への組織再編と投資を行い、顧客ニーズに応えられる体制の整備を進める。セルフメディケーション・健保事業については、顧客基盤(企業健保)のグループ内活用といったグループシナジーの追求を図る。

4. 平安保険グループとの中国での合弁会社設立によるシナジー
平安好医と2019年2月に連結子会社SRL(Hong Kong)Limitedを通じて、中国広東省深セン市に合弁会社「深セン平安好医医学検験実験室(Ping An Medical Laboratories)」を設立している。

2019年夏のサービス開始以降、事業基盤としては平安グループの約3億人の保険契約者を通じて事業の拡大を進める計画である。早期の立ち上げを進めており、今期中に5〜6ヶ所のラボラトリーの開設を見込んでいる。中国全国展開を計画しており、スピード感を持っての積極的な取り組みとなる。合弁会社においては、平安保険グループが中国全土に展開するラボラトリーに対してコンサルティングサービス等を行う予定。また、富士レビオがこれらラボラトリーにルミパルス機台や試薬を供給することになる。

平安保険グループは中国を代表する企業集団であり、強いパートナーと組んだことがポイントとなる。平安グループと組むことは非常に大きなインパクトがあり、東南アジア諸国から引き合いが見られる等目に見える形で現れてきており、海外展開への拡大による足がかりとなり、中長期的な成長期待は大きいだろう。また、中国事業においては機台や試薬のほか、人材も投入する予定であり、平安保険グループが中国全土で展開するラボラトリーで検査に従事する検査スタッフへの教育を行う。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 村瀬智一)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 みらかHD Research Memo(9):技術革新や先端医療の発展によって、新たな事業機会が生まれる(2)