■業績動向

1. 2019年5月期の業績
2019年5月期のわが国経済は、緩やかな回復基調を続けるなか、プロパスト<3236>が属する不動産業界においては、先行指標となる新設住宅着工戸数の季節調整済み年率換算値が、2019年4月に前年同月比で5.7%減となったものの、おおむね横ばいでの推移となっている。また、首都圏におけるマンション販売の初月契約率についても、単月では好不況の分かれ目となる70%を上回る月もあったが、総じて70%を下回る水準が続いている。

このような状況下、同社は、事業として新規物件の取得や保有物件の売却を進めてきた。この結果、売上高は18,002百万円(前期比6.5%増)、営業利益1,378百万円(同20.7%増)、経常利益862百万円(同28.6%増)、当期純利益730百万円(同1.2%増)となった。売上高は期初予想を3.4%上回り、各段階の利益も予想を20%強上回るなど、順調な決算であった。なお、当期純利益の前期比増益率が小さいのは、前期に固定資産の売却に伴い特別利益113百万円を計上したためである。このように、同社の収益力は着実に回復し、黒字基調を維持している。

セグメント別には、分譲開発事業では、2019年5月期は端境期に当たり、自社販売物件としてグランデバンセ御殿山 ザ・レジデンス(東京都品川区)1物件の販売を実施するにとどまった上、保有プロジェクトにおける評価の見直しを実施した結果、売上高は658百万円(前期比87.0%減)、セグメント損失222百万円(前期は297百万円の利益)となった。また、賃貸開発事業では、首都圏を中心に用地取得から小規模賃貸マンション建築・販売まで行っており、恵比寿西プロジェクト、南大塚3プロジェクト、戸越2プロジェクト等の18プロジェクトを売却した結果、売上高は9,855百万円(前期比107.0%増)、セグメント利益は2,058百万円(同106.6%増)と倍増した。相続税対策としての個人投資家の購入に加え、2019年5月期は企業の社宅用や海外投資家による購入が好調であった。さらに、バリューアップ事業では、中古の収益ビルをバリューアップした上で個人投資家向けに売却しており、西蒲田2プロジェクト、幡ヶ谷2プロジェクト、千駄木プロジェクト等、17棟の収益ビルを売却した結果、売上高は7,487百万円(同7.0%増)、セグメント利益は691百万円(同10.5%減)となった。

このように、分譲開発事業が減収減益、バリューアップ事業も増収減益となる一方、賃貸開発事業が大幅な増収増益となった。同社では、主要3事業部門が補完し合うことで、会社全体として増収増益基調を維持している。

2. 財務状態及びキャッシュ・フローの状況
2019年5月期末の資産は、前期末比2,975百万円増加の22,447百万円となった。これは主に、物件売却に伴い、現金及び預金が1,118百万円増加したことに加えて、新規物件の取得に伴い、販売用不動産と仕掛販売用不動産が合わせて1,205百万円増加したことによる。負債においては、前期末比2,320百万円増加の18,853百万円となった。これは主に、新規物件の取得に伴って借入金が1,839百万円増加したことによる。純資産においては、前期末比655百万円増加の3,593百万円となった。これは、その他利益剰余金が668百万円増加したことによる。事業拡大に伴う資産増加の一方、着実な利益の積み上げの結果、自己資本比率は15.6%となり、2013年5月期末の9.5%から大幅に上昇しており、同社の安全性は着実に改善している。

現金及び現金同等物の期末残高は前期末より1,123百万円増加し、1,939百万円となった。各キャッシュ・フローの状況について見ると、営業活動により支出した資金は601百万円となった。これは、税引前当期純利益として939百万円を獲得したものの、たな卸資産が1,208百万円増加したこと等による。また、投資活動により支出した資金は32百万円となった。これは、有形固定資産の取得による13百万円及び敷金の差し入れによる15百万円の支出が発生したことなどによる。さらに、財務活動により獲得した資金は1,760百万円となった。これは、保有物件の売却により借入金を14,853百万円返済したものの、新規物件の取得資金等に伴う16,694百万円の借入を実行したことなどによるものである。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 プロパスト Research Memo(6):期初予想を上回る好調な決算、財務体質も改善