■業績動向

1. 2019年3月期の連結業績
エヌ・シー・エヌ<7057>の2019年3月期の連結業績は、売上高6,516百万円(前期比7.1%増)、営業利益261百万円(同41.6%増)、経常利益316百万円(同38.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益242百万円(同43.4%増)だった。従来の会社計画であった売上高6,510百万円、営業利益204百万円、経常利益257百万円、親会社株主に帰属する当期純利益183百万円からそれぞれ上振れての着地となり、売上高、営業利益、経常利益ともに過去最高を更新している。ROE(自己資本当期純利益率)は17.7%となっている。

住宅分野では高付加価値の工務店ブランドである「重量木骨の家」の販売が堅調に推移したほか、非住宅分野では、2010年10月に施行された「公共建築物等木材利用促進法」により、国や地方自治体の関与する公共建築物への木材利用が促進されていることに加え、病院や保育園など住宅より規模の大きい建築物にも木造化に伴う受注が増加している。さらに、住宅に使われるエネルギーを減らす「ゼロエネルギー住宅」が推奨されており、その基本となる住宅の一次エネルギー消費量を計算するサービスを2019年3月期より本格的にスタートしている。構造加工品の原材料となる資材の調達において、売上原価率が想定を下回ったことも増益の一因である。

(1) 大規模木造建築(非住宅)分野が大きく成長
売上高の増減要因については、前期比較で既存事業である住宅分野が225百万円増、現在注力している大規模木造建築(非住宅)分野が187百万円増、その他が21百万円増となった。住宅分野は対前期比で4%増、大規模木造建築(非住宅)分野は同75%増の成長となっている。

(2) MUJI HOUSEが利益貢献
経常利益の増減要因については、売上総利益が147百万円増、販管費により70百万円減、営業外損益で10百万円増となる。営業外損益については、持分法適用会社であるMUJI HOUSEの「無印良品の家」による利益貢献となる。MUJI HOUSEは、良品計画との合弁事業により設立された。「無印良品の家」を中心とした住空間の直営及びネットワーク事業の運営・商品企画・開発・卸売及び販売を手掛けており、創業からデザイン変更を行わず、資産価値の高い家づくりと長く住める暮らし方の提案を行っているのが特徴である。販管費については、顧問料及び支払手数料が増加した影響であり、上場による一過性のものである。

(3) キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)が小さい
貸借対照表では、資産合計が前期比で1,090百万円増加しており、流動資産において現金及び預金が860百万円。固定資産において、無形固定資産(ソフトウエアの増加)が106百万円、投資有価証券が32百万円増えている。負債合計は同410百万円の増加であり、買掛金が291百万円増加した影響である。同社の特徴としては、キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)が小さいことにある。CCCは、仕入から販売に伴う現金回収までの日数を意味し、日数が小さいほど資金繰りはいいとする指標である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 村瀬智一)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 エヌ・シー・エヌ Research Memo(4):2019年3月期は「重量木骨の家」の販売が堅調に推移