■業績動向

1. 2019年3月期の業績概要
藤商事<6257>の2019年3月期の連結業績は、売上高が前期単独業績との比較で46.5%減の27,971百万円、営業利益が同70.3%減の1,337百万円、経常利益が同64.6%減の1,499百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同68.5%減の796百万円となった。

販売台数を見ると、パチンコ機は8機種(うち、旧規則機2機種)を投入し前期比38.5%減の67.6千台に、パチスロ機は旧規則機3機種を投入し同37.7%減の12.7千台と、いずれも前期比2ケタ減となった。前期にパチンコ・パチスロ機で同社の主力タイトルである「リング」シリーズの投入があった反動や、パチンコ機では新規則機の中でも比較的小ロット販売となるライトミドル機や甘デジ機を中心に投入したことが減少要因となっている。ただ、新規則機の投入機種数としては業界でもトップクラスとなり、市場環境の変化に対応できる開発力を備えていることを示した。

会社計画比でパチンコ機の台数が30.4千台下回ったが、これは当初2019年3月に予定していた主力タイトル「P緋弾のアリア3 設定付」の発売を2019年5月に変更したことなどによるもので、2019年3月期業績の下振れ要因となった

売上高の内訳を見ると、パチンコ機が前期単独業績との比較で46.5%減の23,388百万円、パチスロ機が同46.9%減の4,532百万円となり、平均販売単価で見るとパチンコ機が同13.0%減、パチスロ機が同14.8%減となった。これは「エコ割」※仕様の販売比率が上昇したことによる。パチンコ機では2017年6月に投入した「CRリング 終焉ノ刻」以降の機種でサイドユニットシステムを採用しているが、同機種のリプレースの際には本体枠の交換が不要で、パネルとサイドユニットのみの交換(パネル販売)となるため販売単価も低くなる。ホール側から見れば新台入替費用の抑制につながるメリットがある。同様にパチスロ機についても2017年5月に投入した「パチスロ リング 終焉ノ刻」から分離筐体システムを採用している。回胴部ユニットと下パネルの交換(ユニット販売)だけで継続使用を可能としたもので、同システムを採用した機種のリプレースにより販売単価が低下した。

※パチンコホールに新台として販売した遊技機を回収し、リユース部品などを活用して、異なるスペック機種として再生し、低価格で再販売するシステム。


「エコ割」を活用した新台は部材費率が従来機種よりも低くなるため、売上総利益率で見れば上昇要因となる。実際、2019年3月期の売上総利益率は前期の44.1%から52.0%に上昇した。一方、販管費率は前期の35.5%から47.2%に上昇した。売上減に伴い人件費などの固定費率が上昇したことが要因だ。この結果、営業利益率は前期の8.6%から4.8%に低下した。販管費を項目別で見ると、研究開発費は前期比35.5%減の6,555百万円となった。新機種の投入数は前期と変わらなかったが、開発費の少ない甘デジ機が多かったことや、1機種当たりの開発コスト低減に継続的に取り組んだことが減少要因となった。また、売上高と連動する販売手数料は同49.7%減の782百万円となり、広告宣伝費は同15.1%減の521百万円、その他販管費は同14.5%減の5,357百万円となった。その他販管費については全社的な経費コントロールを推進したことが減少につながった。営業外収支が改善したが、これは前期に計上した貸倒引当金繰入額409百万円が減少したことが主因となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 藤商事 Research Memo(4):2019年3月期は発売タイトルの延期などにより減収減益に