■決算動向

3. 2019年3月期決算の概要
日本アジア投資<8518>の2019年3月期の業績(ファンド連結基準)は、営業収益が前期比57.8%減の3,503百万円、営業利益が同76.2%減の294百万円、経常利益が同99.4%減の5百万円、親会社に帰属する当期純利益が同55.0%減の577百万円と、前期における大型プロジェクト売却の反動などにより減収減益となった。

従来連結基準でも、同様の理由により、営業収益が前期比54.2%減の2,475百万円、営業利益が同82.6%減の177百万円、経常利益が同91.2%減の83百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同33.8%減の578百万円と減収減益となり、計画に対しても、営業収益、営業(経常)利益がそれぞれ下回る着地となっている。ただ、最終利益については、特別利益の計上により一定水準を確保(計画を上振れ)することができた。

従来連結基準による業績の概要は以下のとおりである。

営業収益は、PE投資事業及びプロジェクト投資事業がともに減収となった。プロジェクト投資事業は、前述のとおり、2018年3月期における大型プロジェクト(メガソーラープロジェクト)の売却や補助金収入の反動により大幅な減収となったが、そこは想定内である。一方、PE投資事業については、第4四半期に見込んでいた株式売却(IPO等)の遅れ等により減収となり、それが計画を下回る要因となった。ただ、営業収益のうち安定収益※は、建設中のプロジェクト案件の開発コストを売電収益で補いながら前期比17.6%増の348百万円と増加しており、販管費に占める割合も31.4%(前期は22.6%)に高まったところは財務的な改善の1つとして評価できる。

※管理報酬、プロジェクト投資による持分損益のうち売却益や補助金収入以外の収益(売電収益など)、PE投資の利息・配当収入の合計額。


また、営業総利益が前期比44.8%減の1,286百万円と減益となったのも、2018年3月期におけるプロジェクト売却益のはく落による影響が大きかった。ただ、PE投資事業については、他社が運営するファンドからの持分利益の増加により、前期比で増益を確保している。

一方、販管費については前期比15.4%減の1,109百万円に削減できた。ただ、営業総利益の落ち込みをカバーすることはできず、その結果、営業減益となった。

財務面(従来連結基準)では、プロジェクト投資の拡大により「営業投資有価証券」が増加したものの、それ以上に「現金及び預金」が減少したことから、総資産は前期末比10.0%減の17,305百万円に縮小した。一方、自己資本は内部留保の積み増しにより同4.5%増の6,840百万円に増加し、その結果、自己資本比率は39.5%(前期末は34.1%)と改善した。また、有利子負債(借入金)残高も同18.2%減の9,784百万円に減少しており、プロジェクト投資を拡大しながら有利子負債の削減を図っているところは財務的な改善の2つ目として評価できる。特に、「現金及び預金」と流動性の高い「プロジェクト投資」の合計が有利子負債(借入金)残高を超過する状態となっており、財務健全性の目標としていた財務バランスを達成した。

投資種類別の業績は以下のとおりである。

(1) PE投資事業
営業収益は前期比21.4%減の1,474百万円、営業総利益は同91.8%増の514百万円と減収増益となった。営業収益は、第4四半期に見込んでいた株式売却の遅れ(IPOや売却交渉の遅れ)などにより減収となった。また、ファンド運用残高の縮小に伴って「管理運営報酬」もわずかに減少している。ただ、利益面では、他社の運営するファンドからの持分利益の増加により増益を確保した。

(2) プロジェクト投資事業
営業収益は前期比71.6%減の1,000百万円、営業総利益は同62.5%減の772百万円と大幅な減収減益となった。2018年3月期は大型案件を含む9件(合計81.8MW)を売却した一方、2019年3月期は4件(8.2MW)の売却にとどまったことから大幅な減収減益となったが、反動減は想定の範囲内である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 アジア投資 Research Memo(5):2019年3月期は、大型プロジェクト売却の反動などにより減収減益