■主要開発パイプラインの概要と開発動向

1. 開発パイプラインの進捗状況
窪田製薬ホールディングス<4596>の現在の開発パイプラインは、医薬品でエミクススタト(適応症:スターガルト病、増殖糖尿病網膜症)、ヒトロドプシン※を用いた遺伝子治療(適応症:網膜色素変性)のほか、白内障及び老視を適応症とした低分子化合物、糖尿病黄斑浮腫やウェット型加齢黄斑変性を適応症とした低分子化合物がある。一方、医療デバイスでは在宅・遠隔医療モニタリングデバイスである「PBOS」の開発や、有人宇宙探査に携行可能な超小型OCTの開発をNASAと共同で進める。

※ヒトの網膜の杆体細胞を構成するタンパク質の一種で、光受容体(光信号を電気信号に変えて脳に伝達する)の機能を果たす。


2018年12月期の開発の進捗状況について見ると、エミクススタトのうち、スターガルト病を適応症とした開発については臨床第2a相試験が2018年1月に完了し、主要評価項目を達成したことから、2018年11月より臨床第3相試験を開始した。また、増殖糖尿病網膜症を適応症とした開発については、同年1月に臨床第2相試験を完了し、主要評価項目については達成しなかったものの、バイオマーカーの改善を示唆するデータが得られたことから、今後の開発戦略を検討している。

また、「PBOS」は同年3月に試作機での臨床試験を開始し、同年10月に完了、主要評価項目を達成したことから、現在は量産型試作機の開発を進めている。網膜色素変性を適応症とした遺伝子療法については、同年1月にSIRION(ドイツ)とアデノ随伴ウイルスベクター確立のための共同開発契約を締結し、同年11月にはプロモーター、カプシド、導入遺伝子(ヒトロドプシン)の最適化プロセスを開始した。

2019年3月、NASAのディープスペースミッションに向け、小型 OCT(光干渉断層計)の開発受託契約を締結したと発表。今後は、有人火星探査に携行可能な超小型眼科診断装置の開発をNASAと共同で進めていく。開発に要する費用はTRISH(NASAの関連機関)を通じてNASAより全額助成される。

同社は、経営リソースの有効活用を図るため、当面は開発が進んでいるPBOS、スターガルト病治療薬、網膜色素変性治療薬の3つのパイプラインに加え、宇宙探査に携行可能な小型OCTの開発に注力していく方針を示している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 窪田製薬HD Research Memo(3):有人宇宙探査に携行可能な超小型OCTの開発に注力