■業績動向

1. 2018年12月期の業績概要
GMOリサーチ<3695>の2018年12月期の連結業績は、売上高で前期比横ばいの3,186百万円、営業利益で同23.5%減の248百万円、経常利益で同25.6%減の239百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同28.8%減の148百万円となった。売上高は国内における広告関連売上の減少を海外リサーチの増加でカバーし、前期並みの水準で着地した。

売上総利益率は広告単価下落の影響により前期比0.4ポイント低下したが、同要因を除けば売上構成比の変化もあって前期比で改善したようだ。また、販売費及び一般管理費は、成長分野である海外事業の営業強化による人件費、販売費増、欧州GDPR※への対応(コンサルティング費用増)、アジアパネル開拓のための費用増などで前期比5.2%増となり、結果、営業利益は同23.5%減と3期ぶりの減益となった。また、特別損失として業務提携先であるIgnite Vision(中国)の株式評価損31百万円を計上したことで、親会社株主に帰属する当期純利益の減益率は、経常利益を上回る格好となっている。

※GDPR(EU一般データ保護規則):EUにおける新しい個人情報保護法で、2018年5月より施行された。


会社計画比では売上高で8.9%、営業利益で23.5%下回ったが、これは海外の市場環境変化(欧米顧客企業の購買拠点がアジアに移転、M&Aによる業界再編、大型システム連携の遅れ等)への対応が遅れたことで、海外売上高が第3四半期まで低迷したことが主因となっている。

ただ、四半期業績の推移を見ると、当第4四半期は売上高で前年同期比16.7%増の949百万円、営業利益で同174.0%増の156百万円となり、いずれも過去最高を更新した格好となっている。売上高は国内で前年同期比11%増の667百万円、海外で同33%増の282百万円とそれぞれ過去最高を更新し、特に、海外では最需要期である第4四半期に市場環境変化への対応が整い、適切に需要を取込めたことが増収に寄与した。

地域別売上で見ると、北米は前年同期比67%増の122百万円、アジアは同59%増の83百万円といずれも過去最高を更新し、欧州のみ同10%減の76百万円となった。北米では季節要因に加え、大型システム連携案件が寄与したことが増収要因となっている。また、アジアについては欧米企業の購買拠点がアジアに切り替わるなかで同社もそのキャッチアップができたことが大きな伸びにつながっている。逆に欧州に関しては、アジアへの購買拠点移転の影響で減収となっている。なお、第4四半期における海外売上比率は約30%(前年同期は約26%)まで上昇している。

2018年12月期のサービス別売上高を見ると、アウトソーシングサービスは前期比2.9%減の2,423百万円となった。広告関連売上において、前第3四半期以降、一部大口顧客の広告掲載方針変更に伴う広告単価下落の影響が当第2四半期まで続いたことが減収要因となったが、リサーチ売上に関しては調査委託会社からの案件受託本数・単価ともに好調に推移したことで、前期比10%増と順調に拡大した。同社では売上が順調に拡大している要因として、顧客内での取引シェア拡大が一因と見ている。大手調査会社などではパネル調査を行う際に、複数のインターネットリサーチ会社に発注しているが、ここ最近は同社のようなパネル調査に特化した企業に発注する傾向が強まっているものと考えられる。

DIYサービスの売上高は前期比17.7%増の701百万円と2ケタ増収ペースが続いた。国内や米国においてパネル調査の利用頻度が増加している顧客を中心に、アウトソーシングサービスからDIYサービスに切り替える動きが続いていることが高成長の要因になっていると見られる。同社のプラットフォーム「GMO Market Observer」が機能面で優れており、顧客にとって使いやすいプラットフォームになっていることも売上増につながっている。その他サービスに関しては、アウトソーシングサービス、DIYサービスに注力したこともあり、前期比34.4%減の61百万円となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 GMOリサーチ Research Memo(5):2018年12月期業績は、第4四半期で営業利益が過去最高を更新し急回復