■トピックス

1. 事業拡大に対応し、笠間DCの出荷能力を2倍規模に拡張中。ピッキングステーションにプロジェクションマッピングを活用
MonotaRO<3064>のビジネスモデル上、“早く・タイムリーに”様々な商品を届けることは最重要である。一方で、むやみに在庫を増やしたり人手をかけたりすると、物流関連コストが上昇してしまう。物流関連コスト売上比はおおむね下降傾向にあり、コントロールされている。2017年12月期上期に笠間DCが本格稼働したことにより、過渡期として一過性のコストが発生し、2017年12月期上期は6.5%の物流関連コストがかかっていたが、2018年12月期上期には同5.8%に低減。2018年12月期下期は天候要因(猛暑、豪雨、台風)が影響し主に尼崎DCで生産性が低下。人件費・業務委託費の比率が増加したために同6.1%とやや上昇した。2019年12月期上期は人件費・業務委託費の上昇の影響が残るため同6.1%を維持する予想も、2019年12月期下期には4月に生産性の高い笠間DCの拡張が完了し出荷増となるため、物流関連コストは5.8%に低減することが見込まれる。

同社では、事業の急拡大に対応するために、笠間DC能力を2倍に拡大する工事(2期工事)を行っており、2019年3月竣工、4月には稼働開始予定だ。具体的には、自動搬送型ロボットを現状の154台に114台追加し、コンベアや出荷設備も増設する。ピッキングステーションは28ヶ所追加して44ヶ所に拡大。このピッキングステーションはプロジェクションマッピング技術を応用したもので、作業者の負担を軽減し、作業の精度を高める狙いがある。拡張完了後は東西のDCで対応可能な売上規模は約1,600億円となる。

2. 商品点数が1,800万点に拡大。ロングテール商品を拡充
同社は創業以来、少量多品種なロングテール商品※を中心とした取扱アイテムの拡充に取り組んできた。取扱点数は2016年末には1,000万点を突破、2019年1月末には1,800万点に達している。空圧機器、制御機器、塗料などを中心に、電気材料、作業服、切削工具、店舗什器・備品、実験器具・研究開発用などのロングテール商品を増やしてきた。同社は在庫点数も並行して増やしている。2016年末に29.8万点だった在庫点数は、2018年末に41.1万点に拡充された。この要因としては、尼崎と笠間の東西2大DC体制の確立が大きく貢献したことが挙げられる。在庫点数が増えることは、当日及び翌日出荷が増えることを意味し、サービスレベルの向上、さらにはリピート率の向上につながる。

※ロングテール(商品):インターネットを用いた物品販売の手法。販売機会の少ないニッチな商品でもアイテム数を幅広く取りそろえ、顧客数を増やすことで、総体としての売上高を大きくするという考え方。これらの商品群をロングテール商品と言う。


3. 大阪・東京に拠点を開設し、データ活用体制強化進む
同社は2018年に、データサイエンスに基づく高度なマーケティングとシステム開発を主目的として、梅田(大阪)と赤坂(東京)に拠点を開設した。これまでも機械学習をいち早く導入しインターネットでの集客や継続購入に活用してきた同社だが、今後さらにレベルアップを図る。一例として、同社では顧客に推奨するアイテムを最適化して表示しており、その精度には定評がある。今後は、より詳細で最適な推奨などに挑戦する。利用者にとっても必要なものがワンストップで入手できるため、利便性の向上につながる。

同社では、2年から3年を目途に30名程度のデータサイエンティスト及びITエンジニアの採用を予定している。データサイエンティストはネット大手を中心に需要が高いなか、専門性の高い人材は希少な状況。これまでのところ採用が進んでいる

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)



<MH>

情報提供元: FISCO
記事名:「 MRO Research Memo(4):笠間DCの出荷能力を2倍に拡張する工事が進捗