■トライステージ<2178>の業績動向

2. 事業セグメント別動向
(1) ダイレクトマーケティング支援事業
ダイレクトマーケティング支援事業の売上高は前年同期比10.2%減の16,337百万円、営業利益は同8.8%減の616百万円となった。このうちテレビ事業は、売上高で同14.3%減の15,017百万円、営業利益で同13.0%減の570百万円と減収減益となったが、期初計画(売上高14,629百万円、営業利益428百万円)からはいずれも上回って推移した。

a) テレビ事業
当期のテレビ事業は粗利益率の改善を経営課題に掲げ、メディアレギュラー枠の絞り込みを行い、販売価格の適正化に取り組んだほか、採算の悪い成果報酬型契約を結んでいた顧客との契約条件の見直しを実施したことにより、粗利益率は前年同期の10.0%から11.8%と想定以上に改善した。ただ、仕入量削減に伴う売上高の減少や人件費増が響いて、営業利益は減益となった。一方、期初計画を上回った要因は、成果報酬型契約の見直し交渉を行っていた主要4社すべてで受注継続が決まったことによる。期初計画では、このうち2社分の失注リスクを織り込んでいた。

顧客動向を見ると、売上高上位5社は総じて低調に推移したほか、その他既存・新規クライアントも減少した。新規顧客の売上げが減少したのは比較的規模の大きかった顧客が2年を経過し、既存顧客に振り替わったことが主因であり、新規顧客の獲得件数は増加している。また、ここ数年強化している関西エリアの顧客開拓についても順調に進んでいる。

b) Web事業
アドフレックスで展開するWeb事業については、売上高で前年同期比98.5%増の1,319百万円、営業利益で同128.1%増の45百万円と増収増益となった。前第2四半期から連結業績に反映されたため増収増益となっているが、期初計画(売上高1,697百万円、営業利益62百万円)からは未達となった。テレビ事業との連携による相互提案活動により新規顧客の開拓と既存顧客の取引拡大を進めたものの、主要顧客からの受注が低調だったことが下振れ要因となった。また、営業利益率が低く見えるが、これはのれん償却費33百万円が含まれているため。のれん償却前営業利益率で見ると約6%の水準となる。

(2) DM事業
MCCが展開するDM事業の売上高は前年同期比14.5%増の9,318百万円、営業利益は同39.6%増の194百万円と2ケタ増収増益となり、期初計画(売上高8,351百万円、営業利益101百万円)に対しても上振れるなど好調に推移した。ヤマト運輸の値上げが順次進んだが、既存顧客への販売価格見直しや新規顧客開拓が順調に進んだことが増収増益要因となった。また、のれん償却費が前年同期の55百万円から大幅に減少したことも増益要因となっており、のれん償却前営業利益率で見るとほぼ前年同期並みの水準だったと見られる。

(3) 海外事業
海外事業の売上高は前年同期比30.9%増の990百万円、営業損失は241百万円(前年同期は168百万円の損失)となった。期初計画(売上高790百万円、営業損失110百万円)に対して売上高は上回ったものの、営業損失は拡大した。主にたな卸資産評価損129百万円を当第2四半期に計上したことが要因だ。のれん償却費は前年同期並みの50百万円となっている。

子会社別の業績を見ると、JMLは売上高で415百万円(前年同期は374百万円)、営業利益で0百万円(同25百万円の損失)、Merdisは売上高で575百万円(同345百万円)、営業利益で22百万円(同37百万円)、TSMは売上高で8百万円(前年同期はゼロ)、営業損失で3百万円(同1百万円の損失)となった。

前述したとおり、JML、Merdisについては収益状況が投資時点での計画を大きく下回っており、当面は計画値までの回復が困難との判断から、のれん残高859百万円並びに固定資産103百万円を減損損失として計上している。収益が当初計画を下回っている要因は、長年売上げをけん引してきた健康器具等の主力商品のライフサイクルが終盤を迎え売上高が減少していることに加え、代替するヒット商品も創出できていないことが挙げられる。また、主要取引先・仕入先との取引条件変更や為替変動も一因だ。また、TSMについては日本の商品をTVD経由で販売していく計画であったが、現地のニーズと合致せず伸び悩む状況になっている。こうした状況から海外事業については現在、集中と選択を含めた事業戦略の見直しを行っている。

(4) 通販事業
NHAで2017年3月より開始した通販事業の売上高は158百万円(前年同期は6百万円)、営業損失は189百万円(同107百万円の損失)となった。2018年7月に漢方薬の新商品「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)エキス錠」の販売を開始し、売上高は着実に増加しているものの、広告宣伝費などの先行投資負担により、営業損失は拡大する格好となった。期初計画比では新規顧客数並びにリピート率がともに下回っており、売上高の未達要因となっている。

(5) その他事業
その他事業の売上高は前年同期比3.6%増の733百万円、営業利益は同37.7%減の9百万円となった。期初計画(売上高788百万円、営業利益12百万円)から若干未達となった。売上高については、日本百貨店が運営する小売事業「日本百貨店」と卸売事業が堅調に推移したほか、2018年5月に飲食店「日本百貨店さかば」(東京・丸の内)を出店したことが増収に寄与した。また、同年8月にはシンガポール高島屋にて開催された食品フェアにセレクトショップ形態で初出店し、日本各地の特産品や名産品の販売を行うなど新たな取り組みも開始している。なお、シンガポールでの販売に関しては現地子会社のJMLが物流、マーケティング面で協力している。利益面では飲食店事業の立ち上げ費用増や食品系店舗の不調が減益要因となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 トライSTG Research Memo(5):営業利益はDM事業のみ増益、ダイレクトマーケティング事業は減収減益に