■今後の見通し

3. 2020年6月期以降の成長戦略
テックファームホールディングス<3625>は今後の成長戦略として、自社の持つ高い技術開発力を生かして、需要が旺盛なIoTやAI技術とモバイル技術等を融合して、業界特化型のプラットフォームサービスやソリューションサービスを開発し、収益拡大を進めていく戦略となる。また、自社にない技術や顧客基盤を有する企業、参入障壁の高いITサービスを展開する企業など、同社とのシナジーが見込める企業があればM&Aも積極的に実施していく方針となっている。

SI事業においては従来、受託開発案件の売上比率が約8割を占めていたが、労働集約型のビジネスモデルで付加価値が低く、収益変動リスクも大きかった。同社ではこうした収益構造を高付加価値かつ持続的な成長が見込める収益構造に転換していくことを目指している。具体的には、IoTやAI技術を活用した高付加価値型のソリューションサービス、並びに業界特化型のプラットフォームサービスを複数展開し、これら売上高で全体の7割程度まで引き上げていく。こうした収益構造の転換が実現すれば同社の業績も安定性が向上し、高成長企業へと進化していくものと予想される。

なお、業界特化型サービスとしては現在、自動車アフターマーケット事業が成長段階に入っているが、その他注目される事業としては、(株)三輝との合弁会社である(株)サンキテックで展開する住宅リフォーム支援事業が挙げられる。現状は連結対象外であるが、収益規模が大きくなった段階で連結子会社化する予定となっている会社で、住宅リフォームの見積もりシステム「見積大棟梁」を中小工務店向けに開発・販売している。住宅リフォームに関しては、業者によって見積もり方法や作業工賃などが様々で、リフォーム費用の不透明さが業界全体の課題となっている。サンキテックのパッケージソフトを導入すれば、迅速かつ明確な形で顧客に見積もり費用等の提案が可能となるため、工務店の業務効率向上や売上拡大に寄与するシステムとして今後の成長が見込まれている。導入価格は約200万円で、これにデータベースの更新料や保守・メンテナンス料が定期的に発生する格好となる。サンキテックの売上高はまだ1億円程度と見られるが、月次ベースでは黒字化しているもようで、今後の動向が注目される。

また、カジノ施設向け電子決済サービスについても米国でのフィールドテストが進まないなかで、IR実施法案が成立したことで国内でのIR施設への導入の可能性が出てきている。日米の主要オペレータとの交渉は進めているようで、今後の動向が注目される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 テックファム Research Memo(6):業界特化型のプラットフォームを展開、高成長を実現するIT企業を目指す