■イメージワン<2667>の事業内容

2. 新たな成長局面を迎えたGEOソリューション事業
GEOソリューション事業(衛星画像事業)は、2006年9月期の売上高が20億円(全社売上の59.1%)に迫る主力事業であったが、2014年に往時における主力事業の1つであった宇宙衛星画像販売の大幅縮小に踏み切り、2017年9月期連結決算における全社売上比率は8.0%にとどまっている。

しかしながら、こうした事業構造改革により、セグメント利益率(全社コスト反映前)は大きく好転(2014年9月期単体決算-9.2%→2017年9月期連結決算20.6%)し、高収益事業に生まれ変わりつつあることに注目したい。

一連の事業構造改革を経て、GEOソリューション事業における現在のメインプロダクトは、継続課金モデルのPix4D製ソフトウェアと売り切りモデルながら高収益のASD製可視・赤外分光放射計に絞り込まれた。

Pix4D製ソフトウェアは、特定のハードウェアに依存することなく、UAV(小型無人航空機、いわゆるドローンを含む)や地上で撮影した画像データから3次元形状の復元やオルソモザイク画像(写真に含まれるずれやひずみを修正した画像をモザイク状につなぎ合わせたもの)の生成、画像データに基づく各種計測(体積、面積、長さ)が直感的な操作により行えるものである。同社は日本国内に2名しか存在しないPix4D公認トレーナー資格保有者を抱える正規代理店として、優位なサポート力を武器に販売展開している。

用途としては、航空写真測量や農業分野、環境監視・保全対策、被災状況の把握などであるが、国土交通省が推進する「i-Construction (ICTの全面的な活用で建設生産システム全体の生産性向上を図り、魅力ある建設現場を目指す取り組み)」においてもUAV活用が注目されており、同関連市場は有望視できるだろう。

なお、同社は2012年8月にmicrodrones(ドイツ)とUAVの販売代理店契約を、同年11月にはPix4D(スイス)とUAV撮影画像処理ソフトウェアの販売代理店・ライセンス契約を締結している。日本でドローンへの関心が一気に高まったのは2014年後半から2015年前半であり、同社のシーズ/ニーズに対する感度の高さと迅速な経営判断力を示す好例と言えるだろう。

ASD製可視・赤外分光放射計(対象物の反射率、放射輝度、放射照度を計測)は、売上貢献こそ小さいものの、1996年1月に締結した独占代理店契約に基づく、高収益のオンリーワン・プロダクトである。

NASA(米航空宇宙局)やUSGS(米地質調査所)の標準器として使用されるほど信頼性が高い製品がラインナップされており、農業、環境調査、建設、土木、植生調査、海洋調査、資源探査、化学分析、原材料検査、品質・製品識別など様々な分野で利用されている。

3. 関連会社で展開を加速するWebサービス事業
同社は、2016年11月に光通信の子会社EPARKとの合弁でイメージワン ゼロットを設立し、美容整形分野等の自由診療(保険非適用診療、自費診療)分野の予約・検索サイトの運営事業を立ち上げたが、2018年5月にエンパワープレミアム(光通信とRIZAPグループの合弁会社、歯科分野における自由診療向けの予約・検索Webサービス事業を展開)がイメージワン ゼロットを吸収合併、Webサービス事業については、連結子会社ではなく関連会社(同社が筆頭株主)となったエンパワープレミアムを通じて推進することになった。

エンパワープレミアムは今後の事業方針として、1)インプラントや矯正などの歯科分野における自由診療向けの予約・検索Webサービス事業の更なる充実、2)自由診療に注力する歯科クリニック向けの顧客管理システムの構築と販売を強化、を挙げ、最終的に総合的なWebサービス事業を目指すという。

厚生労働省の2014年医療施設調査による診療科目別の全国施設数を見ると、美容外科が1,251件(診療所1,128件、病院123件)、歯科は69,992件(診療所68,886件、病院1,106件)、矯正歯科だけでも23,767件(診療所23,625件、病院142件)に達しており、市場規模の違いは明確である。

実際の事業状況を見ても、かねてイメージワン ゼロットが運営していた美容医療施設情報サイト「CLINIKE」は高い市場カバー率を誇りながらも、掲載医院数は400件超にとどまっていた。一方、エンパワープレミアムが運営する美容診療・自由診療比較サイト「kiki DENTAL」の掲載医院数は9,032件(2018年6月14日現在)と絶対数がケタ違いに多いばかりか、アップサイド・ポテンシャルについても、自由診療(インプラント、矯正歯科、美容診療、ホワイトニングなど)の裾野の広さからみて膨大だろう。

同社としても、医療画像システム関連商品に関わる技術及び営業のノウハウを、エンパワープレミアムの顧客管理システムの構築、販売等のサポートに生かしていく方針を明らかにしており、まったく新しい顧客層に対するタッチポイントが獲得できたメリットは大きそうだ。

わずか2年足らずでイメージワン ゼロットの発展的解消に踏み切ったことは、同社らしい迅速かつ柔軟な経営判断と言え、英断であったと評価する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田 吉弘)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 イメージワン Research Memo(4):企業理念を堅持しつつ、時代に応じた最先端ソリューションを提供(2)