■業績見通し

1. 2018年9月期の業績見通し
2018年9月期の業績予想についてリネットジャパングループ<3556>は、売上高を前期比28.4%増の4,762百万円、営業利益を同226.8%増の161百万円、経常利益を同234.9%増の158百万円、親会社株主に帰属する当期純利益を同114.5%増の135百万円と大幅な増収増益を見込んでいる。

売上高は、「ネットリユース事業」がほぼ横ばいで推移する一方、メダルプロジェクトの本格化を背景とした「ネットリサイクル事業」の拡大が業績の伸びをけん引する見通しである。また、新たに開始した「カンボジア・ファイナンス事業」も業績寄与する想定となっている。

利益面でも、限界利益率の高い「ネットリサイクル事業」が損益分岐点を超えることにより、大幅な損益改善に寄与するとともに、「カンボジア・ファイナンス事業」も開始初年度から利益貢献(黒字化)する想定のようだ。

なお、上期に積極的なプロモーション展開を実施し、下期での業績の伸びを実現するシナリオとなっていることから、下期偏重の業績予想(上期は154百万円の営業損失を計画)となっていることに注意が必要である。

事業別の業績見通しと前提条件は以下のとおりである。

(1) ネットリユース事業
売上高を前期比2%増の3,510百万円、営業利益を同52%増の50百万円と見込んでいる。書籍メディア事業の足元の収益力は回復に向かうものの、懸念される外部要因(宅配料金の値上げ、販売手数料の上昇など)を加味した想定となっている。

(2) ネットリサイクル事業
売上高を前期比644%増の1,000百万円、営業利益を100百万円(前期は4百万円の損失)を見込んでいる。収益基盤の確立(前期における経常黒字転換等)に伴う広告宣伝の再開や、提携アライアンス※の効果などにより、後半に向けて大きく拡大する想定である。

※家電量販店(ビックカメラ、コジマ)との提携など。まずは、ECサイトから提携(同社サービスの利用券を販売)したが、「購入時に旧製品を処分したい」という顕在ニーズを捉えたことで受注が好調のため、店舗へと拡大している。


(3) カンボジア・ファイナンス事業
売上高を240百万円、営業利益を10百万円と見込んでいる。SBIホールディングスとの合弁によるリース事業の開始は2018年9月頃を予定しており業績への寄与は限定的となる一方、これまでの車輛実証実験及びテスト販売を経て、リース以外の様々な手法でも事業拡大が可能であるとの判断から、まずは、2018年1月に設立した100%子会社「ReNet Japan Cambodia」による業績寄与を想定している。なお、2018年2月に発表したマイクロファイナンス事業への参入(買収手続きの完了は2018年8月までを予定)による業績寄与は織り込まれていない。

2. 2018年9月期第2四半期の進捗
5月11日には2018年9月期第2四半期の業績を発表した。売上高は前年同期比22.3%増の2,186百万円、営業損失は42百万円(前年同期は61百万円の利益)、経常損失は77百万円(同65百万円の利益)、親会社株主に帰属する四半期純損失は78百万円(同59百万円の利益)となり、堅調な増収・営業損失の縮小となった。

売上高は期初計画を上回り成長、営業利益もプロモーション費を抑制した結果、計画比112百万円上回って進捗した。第1四半期に続き、カンボジア・ファイナンス事業が好調であり、売上高307百万円(前年同期比904%)と成長路線に入った。加えて前述の通り、現地ライセンスを取得しカンボジア技能実習生送出し事業にも参入。カンボジアにおける次の柱の育成に着手している。

弊社では、2018年9月期の通期業績予想について、1)第2四半期まで計画以上に進捗していること、2)「カンボジア・ファイナンス事業」において、SBIホールディングスとのリース事業や新たに参入したマイクロファイナンス事業が想定よりも早く立ち上がり、足元で急速に拡大していること、3)「みんなのメダルプロジェクト」に対する政策の後押しや同社自身の積極的なプロモーション展開により、「ネットリサイクル事業」が後半に向けて拡大する可能性が高いことなどから、同社の業績予想は十分に達成可能であり、「カンボジア・ファイナンス事業」の動向次第では上振れ要因ともなる可能性があるとみている。

(執筆:フィスコアナリスト)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 リネットジャパン Research Memo(5):新たな「カンボジア・ファイナンス事業」も業績に大きく寄与