■業績見通し

2019年2月期の連結業績予想についてDDホールディングス<3073>は、売上高を前期比13.3%増の51,078百万円、営業利益を同14.7%増の2,529百万円、経常利益を同16.8%増の2,597百万円、親会社株主に帰属する当期純利益を同38.8%増の1,402百万円と3期連続の増収増益を見込んでいる。

売上高は、前期出店分(19店舗)の通年寄与や今期出店分(16店舗を計画)が増収要因となる見通しである。既存店売上高も飲食事業が前期比100.0%、アミューズメント事業が同101.1%を見込んでいる。

一方、利益面では、ビール仕入れ額の上昇及び今後の食材費上昇懸念を保守的に勘案し、原価率の上昇(前期比1.1ポイント増)を想定する一方、販管費率は前期における一過性費用(持株会社体制への移行及びグループ本社集約等)の解消により低下(同1.2ポイント減)する見込みであることから、営業利益率は5.0%(前期は4.9%)とわずかに改善する見通しである。なお、新規出店については、高収益ブランドを上期中心に出店する計画となっていることに注意が必要である。すなわち、上期は初期費用の影響により一旦減益となる一方、下期での業績の伸びにより大幅な増益を実現する(前倒し出店により初期費用の影響を最小限に抑える)形となっている。

弊社でも、既存店が好調に推移していることや出店計画にも具現性があることから、同社の業績予想の達成は十分に可能であるとみている。注目すべき点は、ノンアルコール業態への参入(利用時間の分散)や周辺事業の拡充(国内ウェディング及びカプセルホテル等)、出店エリアの拡大(地方でのドミナント展開)など、前期に形を作ってきたものをいかに収益化していくかにある。今後の成長に向けて、その道筋をフォローしたい。

■成長戦略

DDホールディングス<3073>は、(株)ゼットン及び(株)商業藝術、(株)エスエルディーのグループ会社化のほか、業界を取り巻く環境変化等を踏まえ、改めて中期経営計画の公表を予定(現時点では未公表)しているが、「世界に誇る『オープンイノベーション企業』」を新たな経営理念に掲げ、新たな価値を創出しながら規模拡大を図る方向性を打ち出している。もっとも、高収益ブランドを軸とした出店拡大やウェディング事業の本格稼働、海外事業の拡大のほか、新業態(ノンアルコール業態を含む)や新規事業(カプセルホテルなど)への展開などにより、持続的な成長を目指す方向性に大きな変化はないものとみている。

弊社では、インバウンド(訪日外国人)の拡大や東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けて経済の活性化が予想される首都圏中心部においても、まだ十分に出店の余地が残されている上、ドミナント展開の強化を狙う関西圏での出店拡大、主要都市への出店推進により、同社の持続的な成長は十分に可能であると判断している。また、(株)ゼットン及び(株)商業藝術、(株)エスエルディーのグループ会社化は、単なる業績の上乗せだけでなく、国内での周辺事業の拡充や米国本土への進出など海外展開のスピードを高める可能性があるほか、新業態及び新規事業の展開などにおいても、成長を後押しするものと評価している。

また、更なる成長加速に向けては追加的なM&Aが重要な戦略になるだろう。業界環境が厳しいなかで、国内におけるM&Aの環境が同社にとって追い風になる可能性があることや、(株)ゼットン創業者の稲本健一(いなもとけんいち)氏の参画(同社取締役海外統括グループCCO)により海外M&Aの実現性もより高まったことから、それらをいかに成功に導くのかが今後の成長のカギを握るとみている。(株)ゼットン、(株)商業藝術及び(株)エスエルディーとの融合によるシナジー効果(特に、業界の枠を超えた新たな価値の創出など)と新たなM&Aの実現の2つの軸に注目していきたい。

■DDホールディングス<3073>の株主還元

2018年2月期の期末配当については、期初予定どおり、前期と同額の1株当たり15円配(配当性向11.3%)を実施した。2019年2月期の期末配当についても、1株当たり15円配を予定している。弊社では利益の上振れが生じた場合、増配となる可能性にも注意する必要があるとみている。また、今後も新規出店や新規事業にかかる投資負担が想定されるものの、高い利益成長の実現により、増配の余地は十分に期待できる。

また、2月末の株主に対する株主優待制度は、同社独自のポイント制度である「DD POINT」付与、または同社グループの店舗で利用できる株主ご優待券、もしくはお米(新潟県魚沼産コシヒカリ)の中から選択できる内容となっており、非常に充実した株主優待制度と言える。また、2017年2月には「DD POINT」及び「株主ご優待券」を従来の5割増しに変更。また、2018年6月からは「DD POINT」及び「株主ご優待券」は(株)ゼットンの店舗及び(株)商業藝術の店舗(一部店舗を除く)でも利用可能となっている。利用店舗の拡大など、今後さらに充実化が進む可能性にも注目したい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 DDHD Research Memo(6):2019年2月期も引き続き増収増益を見込む