■業績の動向

伊藤忠エネクス<8133>の2018年3月期第3四半期決算は、売上高814,044百万円(前年同期比11.5%増)、営業活動に係る利益14,299百万円(同5.0%増)、税引前四半期利益15,693百万円(同20.1%増)、当社株主に帰属する四半期利益9,278百万円(同34.2%増)と、増収増益で着地した。

通期予想に対する今第3四半期の進捗状況は、売上高が70.8%、営業利益以下の各利益項目は90%に迫る高水準となっている。また、営業利益以下の各利益項目は、第3四半期決算として過去最高を更新した。こうした状況に鑑みれば、今第3四半期決算は非常に順調な決算であったと評価できるだろう。

同社は第2四半期(上期)決算において、営業活動にかかる利益と当社株主に帰属する利益が上期ベースの過去最高を記録した。それに続く第3四半期単独期間(10月−12月期)においても原油を始めとしてLPガスやガソリンの価格が上昇を続けたため、同社の業績も上半期までの好調さが第3四半期にも継続した。

売上高は前年同期比11.5%増となり、第2四半期累計期間の同8.9%から、伸びが加速した。販売数量の増加に加えて原油価格上昇に伴う製品価格上昇が貢献したとみられる。

売上総利益は前年同期比4.0%の減少となった。これはホームライフ部門における大阪ガスとのLPガス事業再編や生活エネルギー・流通部門での店舗閉鎖などが理由だが、一方で経費の節減により販管費も同4.0%の減少となった結果、営業利益は同5.0%の増益となった。

税引前四半期利益は前年同期比20.1%増と、営業利益の増益率を上回った。これはLPガス事業再編に絡んで事業再編等利益が2,326百万円計上され、税引前利益が押し上げられたためだ。

事業セグメント別では、売上収益は4部門とも増収となった。前述のように原油価格上昇を反映して各製品価格が上昇したことが主な要因だ。一方、営業活動に係る利益は、電力・ユーティリティ部門と産業エネルギー・流通部門が前年同期比で減益となった。このうち電力・ユーティリティ部門についてはこれまで順調に収益を拡大させてきただけに、曲がり角を迎えたかと懸念する向きもあるだろうが、構造的な要因というよりは市況などの一時的な要因によるものと弊社ではみている(詳細は後述)。当社株主に帰属する四半期利益の段階ではホームライフ部門の伸びが目立つ。これは前述したLPガス再編に関連する事業再編等利益による。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 エネクス Research Memo(2):増収増益で着地。利益では第3四半期の過去最高を更新