■要約

ホットリンク<3680>はTwitterやブログなどソーシャルメディアの投稿データを収集・分析し、企業のマーケティング戦略やリスクマネジメントに利活用するクラウドサービスを中心に展開している。2015年1月にソーシャル・ビッグデータの流通大手である米Effyis,Inc.(以下、Effyis)を子会社化し、グローバルなソーシャルメディアデータの利活用が可能となった。AI技術を活用したソーシャルメディア分析サービスの開発も進めている。2015年12月期より国際会計基準(IFRS)に移行している。

1. 2017年12月期はEffyisの収益増により過去最高売上を更新
2017年12月期の連結業績は、売上高が前期比18.1%増の2,583百万円、営業利益が125百万円(前期は654百万円の損失)と2期ぶりの増収増益となり、売上高は過去最高を更新した。売上高についてはソーシャルメディアデータの需要の高まりを背景に、Effyisが前期比24%増の1,353百万円と好調に推移したほか、中国でのプロモーション支援サービス「トレンドPR」※を中心としたクロスバウンドサービス事業も同104%増の251百万円と本格的に立ち上がり始めたことが増収要因となった。営業利益は前期に計上したEffyisに係る減損損失593百万円が無くなったことや、Effyisの収益回復を主因として大幅に改善した。なお、クロスバウンドサービス事業については事業拡大のための営業体制強化など先行投資を実施したことで、通期では若干の赤字だったものの、第4四半期は売上高も急伸し、月次ベースで利益貢献を始めている。

※ 「トレンドPR」とは中国人消費者をターゲットに自社商品の販売拡大を目指す企業に対して、SNS上の口コミデータ分析をもとに、最適なプロモーション施策を立案し実行するサービスとなる。中国大手SNSのデータを利用できる強みを生かしたサービスで、マーケティングにかかる費用対効果を可視化できるだけでなく、費用対効果も高いことから注目度が高まっている。


2. 2018年12月期の売上高は前期比25%増と成長が加速
2018年12月期の連結業績は、売上高で前期比25.0%増の3,229百万円、営業利益で同33.0%減の84百万円となる見通し。営業利益に関しては事業拡大に向けた営業体制の強化やAI技術を活用した新サービスの開発を強化するため減益を見込んでいるが、売上高成長率は加速する。新たに大手ソーシャルメディアとのデータアクセス権契約が決まったEffyisの業績が一段と拡大するほか、クロスバウンドサービス事業でも「トレンドPR」や新たにリリースした中国越境EC向けのトータルソリューションサービス「トレンドEKKYO」の寄与により、前期比3倍超の大幅増収が見込まれる。なお、為替の前提レートは105円/ドルとしている。

3. ソーシャル・ビッグデータの利活用分野であるプロモーション支援サービスが成長ドライバーに
同社は2018年12月期以降の経営方針として、ソーシャル・ビッグデータの収集・分析だけでなく、利活用分野での事業領域を拡大するべく、マーケティング分野への応用にフォーカスして事業を拡大していく方針を明らかにした。成長ポテンシャルの大きい中国でのプロモーション支援サービス「トレンドPR」や「トレンドEKKYO」のほか、国内向けではSNS上での動画プロモーションサービス「CutChaTV(カチャTV)」のサービスを開始し、今後の成長を見込む。とりわけ、「トレンドEKKYO」はECモール内外での効果的なWebプロモーションを実施することにより商品の売上増につなげるだけでなく、カスタマーサポートや物流業務まで同社が一括して提供するサービスとなる。固定料金に加えて販売高に応じた手数料収入が獲得できるため、業績貢献度も大きくなる可能性があり、今後の動向が注目される。日本及び中国でクロスバウンドサービスの収益基盤が確立できれば、東南アジアやその他地域でも同様のビジネスモデルを横展開し、更なる成長を目指していく方針だ。

■Key Points
・ソーシャル・ビッグデータの収集・分析ツールの提供から、プロモーション支援サービスへと展開
・2018年12月期は新サービスの開発や事業拡大に向けた先行投資により減益となるも、売上成長スピードは加速する見通し
・世界中のソーシャル・ビッグデータを収集・分析し、AI技術を付加した高品質なプロモーション支援サービスのグローバル展開を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 ホットリンク Research Memo(1):プロモーション支援サービスの本格離陸で、業績は高成長ステージに入る