■業界環境

(株)矢野経済研究所の調査によると、リアルワールド<3691>の主力事業であるクラウドソーシングの市場規模は、2012年度に100億円を超え、2015年度には650億円に成長しており、2020年度には2,950億円に拡大(2013年度からの年平均成長率は45.4%で推移)すると予測されている。働き方の多様化が進む一方で、労働力不足の補完やコア業務への集中によりBPO市場が拡大してきたことが背景にある。

また、足元では、2013年4月に施行された労働契約法の改正※1や、2015年9月に施行された労働者派遣法の改正※2に伴う「派遣の2018年問題」などの影響が注目される。企業における雇用のあり方が見直されることにより、在宅ワークやクラウドソーシングを含めた労働の需給環境自体が変化する方向性にある。すなわち、これまで派遣社員で対応してきた領域が、在宅ワークやクラウドソーシングに置き換わる可能性がある。

※1 派遣会社は、有期契約から5年経過した派遣社員からの申し入れがあれば、無期雇用の派遣社員として契約しなければならない。派遣社員による無期契約への転換申し入れが2018年から開始される。
※2 2015年の労働者派遣法の改正により、派遣社員は同一組織単位で3年までと定められた。事業所単位の派遣期間制限3年を2018年に一斉に迎えることとなる。


市場の拡大とともに、クラウドソーシングを提供する事業者も増加しており、競合は激化する傾向にある。クラウドソーシングには大きく3つのタイプがある。すなわち、エンジニアやWebデザイナーなど専門的なスキルを持つワーカーとのマッチングを手掛ける「特化型」、様々なタイプの仕事を取り扱う「総合型」、そして、同社が展開している「マイクロタスク型」である。なかでも、市場が拡大しているBPOと補完関係にある「マイクロタスク型」は成長余地が大きいとみられている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)


<MW>

情報提供元: FISCO
記事名:「 リアルワールド Research Memo(7):「派遣の2018 年問題」など、労働の需給環境が大きく変化する可能性