■今後の見通し

1. 2018年9月期の業績見通し
アドバンスクリエイト<8798>の2018年9月期の連結業績は、売上高が前期比13.4%増の9,230百万円、営業利益が同21.7%増の1,270百万円、経常利益が同20.1%増の1,230百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同5.1%増の780百万円と2ケタ増収、営業利益、経常利益も2ケタ増益となる見通し。売上高については11期振りに過去最高を更新し、営業利益、経常利益についても2013年9月期の過去最高水準(営業利益1,295百万円、経常利益1,258百万円)を射程圏内に捉える格好となる。当期純利益の増益率が鈍化するのは前期に計上した特別利益がなくなることが主因だが保守的な印象が強い。

事業セグメント別では、主力の保険代理店事業がWebプロモーション施策の効果による資料請求件数の増加を背景に前期比2ケタ増収増益となる見通しで、再保険事業についても新たに2社、新規契約先が加わる可能性があり、2ケタ増収増益を見込んでいる。また、前期に一時的な要因で落ち込んだメディア事業についても、今期は前期並みの収益水準を想定している。

同社が毎月発表している申込みベースの月別ANPの状況について見ると、10月は合計で前年同月比7%増、対面販売で同20%増、協業で24%増、通信販売(生保)で3%減となり、いずれも2017年4月以降、2ケタ増ペースを続けるなど順調な滑り出しを見せている。前下期から注力し始めているLINEやFacebook等のSNSを使ったプロモーション施策が効果を上げ始めているものと考えられる。従来は、「保険市場」を通じて資料請求等があった顧客に対しては、DMや電子メール、電話での対応を行っていたが、一方通行になりがちで商談機会ロスにつながることも多かった。SNSでは見込み客に対するアクセス率も高く、商談につながるケースが増加する傾向にある。また、「保険市場」ではチャットボットなども導入し、問合せ等に対してスムーズな受け答えをすることで販売機会を高めている。

同社では資料請求件数の増加に対応するため、2017年9月に大阪のコンタクトセンターを増床し、対応スタッフを1年前の40名程度から120~130名まで増加させ対応に当たっている。ANPの先行指標となる資料請求件数で見れば10月は前月比で約4割増となり、また、対面販売チャネルに誘導した商談件数で見れば約6割増に急増するなど早速、コンタクトセンターを増強した効果が出ているようだ。このため、今後も新規契約件数の増加により保険代理店事業は2ケタペースでの成長が続くと予想される。なお、販売チャネル別で見ると、2018年9月期は協業店向けが最も大きく伸びる見通しだ。対面販売チャネルでは店舗数を増やす予定はなく、営業人員も現状とほぼ変わらない陣容で、1人当たりANPの引き上げを図ることで2ケタ成長を目指していく方針となっているためだ。対面販売で賄いきれない商談については協業店に振り向けており、これが協業店の伸びが高い要因となる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 アドクリ Research Memo(5):資料請求件数の増加により、2018年9月期は2ケタ増収増益に