■カドカワ<9468>の業績動向

3. 財務状況と経営指標
2018年3月期第2四半期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比6,882百万円減少の240,067百万円となった。内訳を見ると、流動資産で同7,826百万円減少し、固定資産で同944百万円増加した。流動資産では、現金及び預金が11,960百万円減少したが、このうち約36億円は9月末日が銀行の休業日だったことによる入金のずれ込みによる影響となっている。逆に受取手形及び売掛金は1,620百万円増加した格好となっている。また、固定資産については設備投資増に伴い有形固定資産が231百万円増加したほか、無形固定資産が195百万円、投資その他の資産が517百万円増加した。

負債合計は前期末比6,654百万円減少の128,570百万円となった。このうち、流動負債は同6,045百万円減少している。主に支払手形及び買掛金で1,763百万円、未払金で1,676百万円、前受金で915百万円、返品引当金で878百万円減少した。固定負債では長期借入金が1,121百万円減少した。

純資産は前期末比228百万円減少の111,496百万円となった。親会社株主に帰属する四半期純利益の計上により利益剰余金が1,750百万円増加したほか、保有株式の時価総額増加などによりその他の包括利益累計額が755百万円増加した。一方、配当金の支払等により資本剰余金が1,489百万円減少したほか、自己株式の取得で1,326百万円の減少要因となった。

キャッシュ・フローの状況について見ると、2018年3月期第2四半期末の現金及び現金同等物は前期末比15,236百万円減少の75,903百万円となった。営業キャッシュ・フローは、9月末が銀行の休業日だった影響で売上債権回収額が減少したことに加えて、仕入債務が減少したことにより、5,119百万円の支出となった。投資キャッシュ・フローは、有形固定資産(1,805百万円)及び無形固定資産(1,094百万円)の取得による支出、定期預金の預け入れによる支出(4,375百万円)などにより6,074百万円の支出となった。財務キャッシュ・フローは長期借入金の返済(1,078百万円)や自己株式の取得による支出(1,742百万円)、配当金の支払額(1,391百万円)により4,003百万円の支出となった。

経営指標を見ると、健全性をあらわす自己資本比率は有利子負債の減少により前期末の44.5%から45.7%に上昇し、D/Eレシオは同様に61.5%から60.7%に低下するなど前期末と比較するとやや改善した。前期は現在建設中の「ところざわサクラタウン(仮)」(所沢プロジェクト)の設備投資資金として400億円を長期借入金で調達し、自己資本比率やD/Eレシオが悪化したが、ネットキャッシュ(現預金-有利子負債)の水準は9月末で27,026百万円となっており、財務の健全性は十分維持されていると判断される。

なお、2018年3月期の設備投資計画はキャッシュベースで140億円(うち、所沢プロジェクトで100億円※)となっており、このうち第2四半期までで30億円程度を支出、残り約110億円は下期に支出する予定となっており、2018年3月期末の現金及び預金の水準は2018年3月期第2四半期末よりもやや減少している可能性がある。

※所沢プロジェクトの今後の設備投資計画は、2019年3月期が約10億円、2020年3月期が約100億円、2021年3月期が約190億円となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 カドカワ Research Memo(5):所沢プロジェクト総額399億円のうち2018年3月期は100億円の投資を計画