■事業内容

ASJ<2351>の単一セグメントだが、そうしたなかで、事業は大きく各種クラウドサービス、決済代行の2つをメインのサービスとしてカテゴライズすることができる。ゲームを提供しながら、クラウドと決済代行で成長を目指す考えだ。

クラウドに関しては、アプリケーションとデータベースを連動させることを基本とし、いろいろなサービスを付加価値として上乗せしていく。そこでは、自前のデータセンターを擁していることが強みだ。また、決済代行サービスはストックビジネスであり、顧客を積み上げることによって収益を着実に伸ばしていく。

それぞれのカテゴライズの中で、個々の事業を紹介してみよう。

1. クラウドサービス
クラウドサービスでは、ASJサーバー、ドメイン取得サービス、グループウェア、ゲームなどを展開している。

(1) ASJサーバー
ASJサーバーは、同社グループが提供するサービスの中でも基幹となる事業。インターネットを活用することによって事業拡大を目指す中堅・中小企業並びに個人事業主を中心に20,000社を超える導入実績を誇っている。

ASJサーバーは、同社グループの強みの1つであるアプリケーション開発技術を駆使して作成したツールをインターネットサーバーに付加することにより、サービスの価値を高めるとともに、独自性を持たせている。主なサービスを列挙すると、モバイル対応eコマース支援サービス「ショッパー」、オンライン予約・管理システム「eリザーブ」などを提供しており、今後も新たなサービスの提供を行う考えだ。

(2) ドメイン取得サービス
ドメイン取得サービスとして「eドメインで.com」を提供。ドメインの取得、移動などをスムーズに行い、取得後または移動後の手続きや更新といったドメイン管理も一括して同社グループにて行っている。

(3) クラウドグループウェア
グループウェア「HotBiz」は、インターネット経由で利用できるクラウドグループウェアとして、多数の企業が活用している。

「HotBiz」は、インターネット専用であるとともに、大半の機能でスマートフォンなどモバイル対応している強みを生かし、経営活動において必要不可欠である情報共有・業務管理・稟議決済等をいつでも・どこでも・簡単に行うことが可能。また、内部統制の強化が求められているなかで、今後も「HotBiz」の需要は高まるとみられる。

2. 決済代行サービス
決済代行サービスでは、アプリケーションに各種サービスを付加することで、顧客を増加させてきた。とりわけ、商工会議所向けのサービスに今後の期待が大きい。

(1) 決済代行サービス
決済代行サービス「ASJペイメント」は、クレジットカード決済をネットショップにおいて簡単に導入できるサービス。このサービスでは、「業界最速クラスの入金スピード」と「最安クラスの決済手数料」の両面を実現している。また、「PCIDSS Ver3.0 Level1」に完全準拠した決済代行サービスとして、サービス開始後、ネットショップ事業者の間で注目を集めている。

(2) 検定試験管理システム
商工会議所向け検定受付システムは、全国の商工会議所様向けに提供しているサービスとして、簿記検定等の検定のインターネット申込から受検料の決済、検定の成績管理までワンストップソリューションで提供している。

同社の強みとなっていPCIDSS3.0(Level1)完全準拠の堅牢なセキュリティで保護される決済システムと、各商工会議所様個別に行うカスタマイズによる利便性の向上の集約により、採用する商工会議所が増加。この分野で業界トップシェアとなっている。 商工会議所は、こうした案件に関して、中央組織が発注する訳ではなく、各組織ごとに発注する仕組みで、各会議の横のつながりを活用し、受注を拡大させている。

商工会議所は全国に広がる公的な色彩が強い組織であり、そこでのビジネスを着実に進めていることは、単に安定した収益源となるのみならず、企業としての信頼度を高めるという副産物が生じる。商工会議所内でも、同社のサービスを導入していない会議所も数多くあるだけに、検定管理システムについては、なお拡大余地が広いと言えそうだ。

3. ゲーム
ゲームについては、自社において、ブラウザゲームポータルサイト「ASJ Games」を運営し、その中において2006年に提供を開始した「ドリームベースボール」が、代表作となっている。

「ドリームベースホール」
「ドリームベースボール」とは、プロ野球選手評価情報「BBR(ベースボールレイティング)」を活用した、日本野球機構承認のプロ野球オンラインゲーム。ユーザーが自分の好きなプロ野球選手を集めて独自のチームを作成し、実際に行われたプロ野球の試合結果により「BBR」で算出されたポイントを用いて、参加しているユーザー同士でランキングを競い合う種類のゲームだ。

「ドリームベースボール」はこれまで、同社の大きな収益の柱であったが、ひと頃に比べて野球に対する関心が薄れ、サッカーほか他のスポーツに人気がシフトしながらも、まだまだ、日本では人気の高いスポーツであり、今後もゲームユーザーに受け入れられていくものと思われる。「ドリームベースボール」のコンテンツの詳細は以下の通り。

「DBBワールド」
自分のチームを強くし、プレイヤー同士の優劣を競いあってプレイヤーの頂点に立つことと、自分の所属している球団を12球団の中でトップにすることが最終目標とするゲーム。選手たちの生活する街を住みやすいものにし、他のプレイヤーと試合をすることで、自分のチームをより強く育てることができる。また、チームには実際のプロ野球選手を登録でき、好みに合わせて育てていくことが可能だ。

「DBBクラシック」
実在するプロ野球選手のカードを集めて、自分だけの夢のチームで競い合う。世界にひとつだけのオリジナルチームで、実際のプロ野球の試合結果や選手の成績に加え、選手の勝利への貢献度を予想する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野 文也)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 ASJ Research Memo(3):クラウド・決済代行サービスを中心に成長目指す