■サカタインクス<4633>の中長期成長戦略

1. 中期経営計画2017の最終年度で経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益、ROEが目標達成見込み
中期経営計画2017(2015年4月−2017年12月)では、基本方針をCSR活動の充実、グローバル展開による着実な成長、製商品を含むトータルソリューションの提案、生産技術革新、コア技術の深耕と応用展開としている。

そして戦略課題としては、コーポレートガバナンスの強化、リスク・コンプライアンス管理体制の充実、グローバル人材の育成、資産の有効活用、サカタインクスブランドの向上、グローバル調達の推進、環境配慮・安心安全な製品の開発投入、情報インフラの整備、多様化市場への対応、設備投資による次世代への布石、物流生産体制の再編、製造プロセスの最適化によるモノづくり力向上、異業種交流、産官学等の外部との連携を掲げている。

グローバル展開の加速、地域特性に応じた製品戦略、環境配慮型高機能・高付加価値製品の拡販によって、販売数量増による収益拡大を目指す方針だ。経営目標値には2017年12月期売上高185,000百万円、営業利益11,000百万円、経常利益12,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益7,600百万円、ROE10%以上を掲げている。想定為替レートは1米ドル=117円である。8月10日公表の2017年12月期連結業績予想では、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益及びROEを達成する見込みとなった。

2. 能力増強や物流・生産体制再構築を中心に設備投資実行
3年間累計の設備投資額は20,000百万円の計画である。内訳は印刷インキ事業に13,100百万円(海外生産能力増強7,200百万円、物流・生産体制再構築5,900百万円)、機能性材料事業の生産能力増強に1,400百万円、情報インフラに1,400百万円、通常投資他に4,100百万円としている。また、3年間累計の減価償却費は、12,000百万円としている。

今後の設備投資の主要案件は、滋賀工場の新聞・オフセットインキ設備増強、米国カンザス工場拡張によるUV・EBインキ増産、米国オハイオ工場のインクジェットインキ設備増強、中国(広州)の缶用インキ工場の移転・増強、中国(茂名)のオフセットインキ第2工場建設などである。

なお、中期経営計画2017の最終年度である今期の第2四半期決算説明会において、3年間累計の設備投資額は約165億円、減価償却費は約105億円になる見込みとしている。

3. グローバル展開加速と環境配慮型高機能・高付加価値製品拡販で中期的に収益拡大基調
重点戦略として、印刷インキ・機材(日本)では、高品質な差別化製品投入による売上拡大、トータルソリューション提案、革新的生産技術によるコストダウン、物流・生産体制の再構築を推進して国内基盤を強化する。印刷インキ(アジア)では、環境配慮型製品の拡充、地域密着型製品の投入、TPM活動の推進などで売上拡大を目指す。

印刷インキ(北米)では、パッケージ分野の強化、トータルソリューション提案、TPM活動の推進などで売上拡大を目指す。印刷インキ(欧州)では、パッケージ用インキ及びメタルインキの拡販、東欧・ロシア・アフリカ・中東への展開、グローバル顧客への販売推進で、売上拡大と収益力強化を目指す。機能性材料では、デジタル印刷材料、画像表示材料、機能性コーティング剤の拡販、グローバル販売体制の強化、新規分野への展開を推進する。

なお、2018年12月期からの新中期経営計画は2017年11月頃公表予定としている。新中期経営計画でも、グローバル展開の加速と環境配慮型高機能・高付加価値製品の更なる拡販を推進することが予想される。世界的に環境対応型製品へシフトする流れも背景として、先行してグローバル展開した実績、各国の地域特性に合わせて製品投入するノウハウ、環境配慮型の高機能・高付加価値製品分野での高シェアを生かして、中期的に収益拡大基調と一段の高収益化が期待される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 サカタインクス Research Memo(6):グローバル展開の加速と環境配慮型高機能・高付加価値製品を拡販