■MonotaRO<3064>のトピックス

2017年2月に竣工し、4月に本格稼働が始まった業界最大級の新物流拠点(笠間DC)に関して、計画、基本情報、狙い、これまでの成果、今後の計画などを総括する。

1. 笠間DC運営計画
笠間DC稼働以前の同社の物流拠点体制は、メインセンターとしての尼崎DC(兵庫県、13,000坪)が広域をカバーし、サブのセンターである多賀城DC(宮城県、2,500坪)の2拠点で合計15,500坪であった。笠間DC(茨城県、17,000坪)が本格稼働した後は、尼崎DCは稼働を継続し、多賀城DCは閉鎖(2017年5月)し、2拠点合計で30,000坪となり、キャパシティは倍増した。在庫能力は尼崎DCのみの約30万点から、2拠点合計で50万点まで増加することができ、売上高1,500億円規模まで対応可能な物流体制が整った形だ。

2. 笠間DCの基本情報
【名称】 笠間ディストリビューションセンター(笠間DC)
【所在地】 茨城県笠間市平町1877番3
【構造】 鉄筋構造平屋建て
【延床面積】 約56,200平方メートル(約17,000坪)
【出荷能力】 1日当たり最大約4万件
【在庫能力】 尼崎DCとの並行稼働を前提に全体で50万点まで在庫保有能力を増やすことが可能
【主な導入設備】 自律搬送型ロボット「Racrew」、自動製函機/封緘機
【雇用人数】 2017年は200名程度を予定。以降は稼働拡大に応じて増加予定

3. 笠間DCの開設の狙い1:在庫保有能力の拡大
在庫保有能力の拡大は同社の成長において重要な役割を果たす。同社の顧客である事業者にとって間接資材の納期は操業に直結する問題であり、納期の早さや信頼性は顧客満足に不可欠である。そのためには、同社ではより多くの商品を在庫で持ち、注文当日に発送することを目指している。尼崎DCで約30万点を在庫として持ち、ほぼ全国をカバーしていた以前の体制から、東西2拠点で約50万点まで在庫保有できる体制になるとともに、更なるリードタイム短縮にも取り組む。このように在庫拡大を起点として利便性が高まり、結果として顧客拡大や売上拡大につながる好循環が1つの狙いである。

2017年6月末の時点の笠間DCの在庫実績は12万点、2017年12月末には20万点を計画する。

4. 笠間DCの開設の狙い2:出荷能力の増強
売上高1,500億円規模まで対応するためには、出荷能力の増強も必要となり、そのためには生産性の向上が鍵となる。笠間DCでは、多岐にわたる商品のピッキングを効率的に行うために、自律搬送型ロボットを導入し、庫内作業効率を向上させる計画だ。従来のピッキング作業の時間の多くを占めていた歩行時間が、ロボットが棚を運んで作業者の元に来ることにより、大幅に短縮されることになる。稼働間もない期間の実績ではあるが、154台の自律搬送型ロボットが毎日合計で1,300km走行しており、新たなピッキング方式の運用は順調に滑り出した。

5. 物流関連コストの実績、計画
同社の物流関連コストは、売上比で5.9%(2016年上期、下期)であり、その半分以上を人件費・業務委託費(売上比で3.1%)が占めている。

2017年12月期上期は、笠間DCの立ち上げ(4月)、多賀城DCの閉鎖(5月)などによる二重の費用や一過性の費用が発生するため、物流関連コストは売上比で6.3%(前年同期比0.4ポイント増)と高めの計画であったが、さらに0.2ポイント高い6.5%で着地した。この要因としては、笠間DCの出荷はおおむね計画どおりであったものの、想定を上回る売上増(出荷件数増)・出荷品数増などを尼崎DCの派遣増員で対応したために、業務委託費が上昇したことが主因である。

笠間DCが安定稼働に入り出荷比率が増えれば、物流関連コスト売上比は低下することが予想される。2つのDC間の出荷バランスを調整し、期末には笠間DCからの出荷比率を全体の半分以上に持っていき、生産性向上効果をフル活用して物流関連コストを売上比で2016年度下期実績(5.9%)からの低下を目指す考えだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 MRO Research Memo(4):自律搬送型ロボットを活用した業界最大級の笠間DCが4月に本格稼働開始