■要約

イー・ガーディアン<6050>は、SNSやソーシャルゲームの運営者向けに監視や顧客サポートなどのサービスを提供するネットセキュリティ専門企業である。1998年にコンテンツプロバイダとして誕生し、インターネット業界の創成期に様々な新事業を手掛けるなかで2005年に掲示板投稿監視事業に一本化し、イー・ガーディアン株式会社に商号変更した。2010年に東証マザーズに上場してからは、ネット監視事業のイーオペ(株)※1、人材派遣業の(株)パワーブレイン※2、デバッグ事業※3のトラネル(株)、HASHコンサルティング(株)※4、(株)アイティエスをグループ化し、事業領域を拡大してきた。現在は関連会社6社を含め全国の5都市に拠点を持ち、966名の従業員を抱える企業グループである。2016年9月に東証1部に昇格した。

※1 イーオペは現在のイー・ガーディアン東北(株)。
※2 パワーブレインは現在のEGヒューマンソリューションズ(株)。
※3 デバッグ(debug)とは、コンピュータプログラムに潜む欠陥を探し出して取り除くこと。
※4 HASHコンサルティングは現在のEGセキュアソリューションズ(株)。


1. 事業概要
主力事業は、ソーシャルサポート事業とゲームサポート事業である。ソーシャルサポート事業は、投稿掲示板やブログ・SNSなどのコミュニティサイトなどを対象に監視・カスタマーサポート、運用、分析といった多種多様な業務を代行する。厳選された人材による監視サービス(有人監視)が基本であるが、その効率を上げるために専門特化した監視ツール(システム監視)も併用される。独自開発されたAI(人工知能)システムにより低コストかつ高品質なサービス提供をする上で武器になっている。

ゲームサポート事業は、オンラインゲームを運営するクライアントに対し、問い合わせ対応を始めとする運営をサポートするとともに、デバッグ等の周辺業務も請け負う。ゲームをリリースする前に行うデバッグ作業からリリース後の問い合わせ対応までをワンストップで提供できる体制を整え、他社との差別化を狙う。両事業を合わせて売上高全体の77%を占める。

2. 業績動向
2017年9月期第2四半期の連結業績は、売上高が前期比32.8%増の2,415百万円、営業利益が同61.8%増の385百万円と大幅な増収増益となった。4事業すべてが好調に推移した。増収額ではゲームサポートの成長分が大きく、増収率では、アイティエスを連結子会社化したその他が大きかった。利益面では、人員増や東京センターの移転費用などコストアップもあったが、増収効果が上回り大幅増益となった。

2017年9月期通期の連結業績予想は、売上高が前期比17.7%増の4,489百万円、営業利益が同18.1%増の663百万円と期初の予想を据え置いた。4事業とも、顧客企業・業界の成長は継続しており、ネットセキュリティやBPOのニーズは底堅く、事業環境としては追い風が吹く。通期予想に対する第2四半期時点の進捗率は、売上高で53.8%、営業利益で58.1%と順調であり、同社の計画が達成確実な保守的なものであることからすれば、期首予想を大きく上回ってくることが想定される。

3. 成長戦略
成長戦略は「総合ネットセキュリティ企業」へのステップアップである。新しいトピックとしては、2017年4月にLINE<3938>が展開するAI自動応答やチャットサポート、無料電話などを活用した効率的で円滑なカスタマーサポート「LINEカスタマーコネクト」の販売・運用代理パートナーとして選定された。同社がこれまでに培ったコミュニケーション力やFAQの構築ノウハウ、テキスト読解力などの強みを最大限に生かしたチャットサポートを展開し、電話を中心とした従来のカスタマーサポート市場をチャット中心としたものに変革したい考えだ。

また、2017年1月にはビットコイン口座開設時に本人確認資料の審査を行う「ビットコイン本人認証サービス」を提供開始しており、既にビットステーション(株)が運営する仮想通貨取引所「ビットステーション」での導入が決定している。

■Check Point
・ネット監視事業最大手から総合ネットセキュリティ企業に進化、2017年1月にハードのデバッグ専業のアイティエスを連結子会社化
・4事業すべてが好調に推移し、大幅な増収増益
・LINEカスタマーコネクト公式パートナーとして、チャットサポートを強みに従来のコールセンター市場に切り込む

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)



<NB>

情報提供元: FISCO
記事名:「 EG Research Memo(1):2017年9月期第2四半期は全事業好調により大幅な増収増益