■今後の見通し

2018年3月期について伊藤忠エネクス<8133>は、売上高1,150,000百万円(前期比11.8%増)、営業利益16,500百万円(同16.2%減)、税引前利益17,800百万円(同8.0%減)、当期純利益10,400百万円(同0.0%減)と増収減益を予想している。同社は通期ベースで業績評価をしており、第2四半期予想は作成していない。

事業セグメント別の詳細は前述のとおりだ。改めて整理すると、営業利益が前期比16.2%(3,178百万円)の減益と予想されている理由は、前述のように、前期の営業利益の中に一過性の資産売却益が含まれていたことの反動と、生活エネルギー・流通部門における燃料(ガソリン等)販売量の減少が主な要因となっている。

弊社では2018年3月期の業績予想については、原油価格やLPガス価格についての前提条件と実際の水準に照らして、今後大きな変動なければ無理なく達成できる数値だと考えている。同社自身も、新中期経営計画については貪欲に業績数値を拡大することよりも、未来のための布石を打つ期間という位置付けのため、現実に即した無理のない業績予想としたと弊社では考えている。

したがって、2018年3月期の注目点は、業績数値よりも中長期の成長につながる施策が着実に実行されたかどうかということになる。各事業セグメントの主な取り組み目標は前述のとおりだが、その中で弊社では、1)ホームライフ部門では電力顧客契約件数、2)電力・ユーティリティ部門における発電事業の進捗、3)生活エネルギー・流通部門における、CS事業の深耕(特に非燃料油ビジネス拡大と、地域特化型サービスの進捗)、4)産業エネルギー・流通部門における新規事業の進展、に特に注目して見ていきたいと考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 エネクス Research Memo(14):業績数値以上に未来につながる施策の進捗状況に注目