a) 京葉エチレンからの離脱によるフル生産体制構築 同社は2015年3月をもって京葉エチレン(株)から離脱した。同社は京葉エチレンから年産768千トン/年(定修スキップ年)の25%を引き取っていたが、離脱により自社の千葉と大阪の両エチレンセンターでフル稼働ができるようになり、コスト競争力が大きく改善している。
b) “地産地消”政策によるエチレン国内消費率90% 同社は生産したエチレンの90%以上を国内で消費している。しかも国内消費分の90%(生産量に対しては約80%)は自社誘導品で消費している。国内の値決め方式はフォーミュラ方式で、原料ナフサの価格変動を製品価格に転嫁できる仕組みとなっているため、生産量の90%を国内で消費する同社は、業績安定性や赤字転落への抵抗力がそれだけ高いといえる。
c) 高付加価値ポリマーの構成比率90% 上記b)とも密接な関係にあるが、高い国内消費率を維持するためには、各種誘導品(製品としての化学品)をきちんと国内で売り切る力が必要だ。同社は需要が安定してより高価で販売できる高付加価値型ポリマーに注力している。エチレンの最大消費先であるポリエチレン(PE)樹脂において、同社は汎用ポリエチレンのプラントを停止する一方、エボリュー®ブランドで販売されている高機能タイプの直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)の能力を増加した。これは同社の包装用フィルムの基材としても利用されている。