■要約

中電工<1941>は、広島市に本拠を置く、電気・空調・給排水設備を始め、情報通信・環境分野における総合設備エンジニアリング会社。中国電力<9504>系の設備工事会社となるが、電力への売上高依存度は30.6%と電力系工事会社9社中、3番目に低い。自己資本比率は81.5%と財務安全性が高く、ROEは4.3%と収益性が低い。現中期経営計画では、M&Aを含む成長戦略に基づく積極的な経営に転じており、豊富な資金を持続的成長のための投資に充てる一方、株主還元にも意欲的だ。

1. 持続的成長のための投資
現中期経営計画において、成長のための投資枠として300億円を設定している。内訳は、M&A・アライアンス等の事業拡大のための投資枠が280億円、技術研究開発・人材育成・協力会社等の体制整備に20億円としている。投資関連では、太陽光発電事業や農業事業へ出資した。出資先プロジェクトの太陽光発電設備工事を請け負い、2019年4月予定の本稼働後は20年間にわたり発電所の運用・保守業務を行う。M&Aでは、2016年夏に神奈川県横浜市と兵庫県神戸市の設備工事会社を買収・子会社化しており、都市圏における事業基盤の拡充に努めている。中国5県における売上高構成比が93%と高いが、今後、東京・大阪・名古屋等の都市圏のウエイトを高めて持続的成長を目指す。本社からのバックアップ体制も整え、都市圏での受注も堅調に推移している。

2. 株主還元
配当方針は、持続的・安定的な高水準の配当を行うことを重視し、DOE(連結株主資本配当率)を採用している。DOEの目処を、2017年3月期までの2%から2018年3月期は2.5%に引き上げた。これにより年間1株当たり配当金が前期の72円から94円に増加し、配当性向は前期の44.9%から65.7%に上昇する。電力系工事会社9社中、1株当たり配当金が最も大きく、配当性向も高い。また、前期は、250万株の自己株式取得を行っており、総還元性向は98.1%になった。2017年3月に、既取得分と併せて700万株、発行済株式数の10.7%に相当する規模の自己株式の消却を行った。

3. 豊富な期首繰越高により堅調な業績見通し
2018年3月期の連結業績は、売上高が前期比4.8%増の155,000百万円、営業利益が同1.3%増の9,800百万円を予想している。中国電力向け配電線工事が安定している上、屋内電気工事及び空調管工事は期首の繰越高が高水準で堅調な業績が見込まれる。

■Key Points
・豊富な資金を持続的成長のための投資と株主還元に振り向ける
・高水準の期首繰越高により堅調な業績見通し
・電力系工事会社銘柄の中では最も株主還元に積極的

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 中電工 Research Memo(1):成長戦略に基づく積極的な経営を展開