■業界環境

(株)矢野経済研究所の調査によると、リアルワールド<3691>の主力事業であるクラウドソーシングの市場規模は、2012年度に100億円を超え、2014年度には408億円に成長しており、2018年度には1,820億円に拡大すると予測されている。働き方の多様化が進む一方で、労働力不足の補完やコア業務への集中によりBPO市場が拡大してきたことが背景にある。2009年頃から本格化してきたが、クラウドソーシングという言葉が一般的となったのは、2011年の東日本大震災以降であり、被災地における在宅ワークやテレワークへの需要が高まり、試験的に利用する企業が増えたことが普及を後押しした。

また、今後は、2013年4月に施行された労働契約法の改正※1や、2015年9月に施行された労働者派遣法の改正※2に伴う「派遣の2018年問題」などの影響が注目される。企業における雇用のあり方が見直されることにより、在宅ワークやクラウドソーシングを含めた労働の需給環境自体が変化する方向性にある。すなわち、これまで派遣社員で対応してきた領域が、在宅ワークやクラウドソーシングに置き換わる可能性がある。

※1 派遣会社は、有期契約から5年経過した派遣社員からの申し入れがあれば、無期雇用の派遣社員として契約しなければならない。派遣社員による無期契約への転換申し入れが2018年から開始される。
※2 2015年の労働者派遣法の改正により、派遣社員は同一組織単位で3年までと定められた。事業所単位の派遣期間制限3年を2018年に一斉に迎えることとなる。


市場の拡大とともに、クラウドソーシングを提供する事業者も増加しており、競合は激化する傾向にある。クラウドソーシングには大きく3つのタイプがある。すなわち、エンジニアやWebデザイナーなど専門的なスキルをもつワーカーとのマッチングを手掛ける「特化型」、様々なタイプの仕事を取り扱う「総合型」、そして、同社が展開している「マイクロタスク型」である。なかでも、マイクロタスク型は、市場が拡大しているBPOからのリプレースが期待できることから成長余地は大きいとみられている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 リアルワールド Research Memo(7):「派遣の2018年問題」など、労働の需給環境が大きく変化する可能性