a) クラウド事業による収益貢献(医療クラウドの黒字化実現) 中期計画期間中の医療クラウドの黒字化を目標としていたが、中計2年目に達成した。第1四半期において「NOBORI」の受注が遅れたが、その後追い上げて、第3四半期途中の単月ベースで黒字化、通期でも黒字化を達成した。「NOBORI」の契約施設数は17年3月期末時点で累計約650施設となり、期初時点での期末目標600施設を超過達成した。この契約施設数は、クラウドPACS(放射線医用画像管理システム)市場の80%を超えるシェアに該当するという試算もある。また、「NOBORI」に画像を保管している患者数は延べ約15百万人超(2017年3月31日現在)に達し、複数病院受診による重複は一部あると思われるが、日本の人口の約8人に1人がNOBORIにデータを保管している計算になる。一方、「医知悟」の遠隔読影プラットフォームを利用する専門医数は約1,300人(2017年5月15日現在)で、実稼働約3千数百人といわれる専門医の約3人に1人が利用していることになる。CRM分野の「FastCloud」は既に黒字化し、順調に利益貢献している。インターネットサービス分野では、ネットショップ向けサービス「楽楽アイテムマネージャー」のリリースなどを行ったが、新規サービスの投資がかさみ採算性ではやや苦戦した。
b) クラウド事業のプラットフォーム化(多角化) 「NOBORI-PAL」により医療分野でのプラットフォーム化を狙っており、検査予約サービス「TONARI」等の自社付加価値サービスや周辺領域で事業展開をしているパートナー各社より提供されるサービスの拡充を図っており、順調な進捗である。前述の「NOBORI」契約施設数の拡大とあいまって、医療クラウドのプラットフォーム化が進めば、競合他社との差別化がより一層進むこととなる。また、ソフトバンク<9984>と医知悟との連携により病理専門医の遠隔診断業務を支援するプラットフォームサービスの提供を開始した。
c) 海外(アジア)でのクラウド事業の確立 医療分野で中国に合弁会社を設立し、北京大学と病理分野で提携した。CRM分野でASEANトランス・コスモス(タイ)との協業を開始した。アジアを中心とした海外でクラウド事業展開のスタートとなった。ただ、いずれも事業として実を得るまでには、まだ多少は時間を要するものと思われる。
a) サイバー・セキュリティ対策の高度化対応とワンストップ・サービス化 「Swivel PINsafe」(英国Swivel Secure Ltd.のトークン不要二要素認証ソリューション)、「ProofPoint」(米国ProofPoint Inc.の次世代型メールセキュリティソリューション)、「Tanium Endpoint platform」(米国Tanium Inc.のネットワーク端末脅威対策プラットフォーム製品)、「Votiro Auto Suite for FileZEN」(ファイル無害化自動連携ツール)、「CylancePROTECT®」(AIを活用した次世代アンチウィルス製品)の各ソリューション・サービスの販売・提供を開始し、サイバー・セキュリティ対策におけるサービスラインナップが拡充した。前述のように、政府・自治体、民間、いずれの分野においてもセキュリティ対策強化が追い風となっており、セキュリティ対策関連製品の拡販が今後とも大いに期待される。
b) 設計、構築、保守、運用・監視サービス、自動化のバリューチェーン実現 NOC(ネットワークオペレーションセンター)/SOC(セキュリティオペレーションセンター)による保守・運用で、「∴TRINITY for BIG-IP マネージドサービス」など製品販売に加えた保守・運用サービス体制の拡充を行い、獲得案件に対する一気通貫のバリューチェーンが確立した。
c) IoT(Internet of Things)時代の組込みソフトウェアの機能安全実現 第2四半期までは円高による企業の投資意欲の陰りが懸念されたが、第3四半期以降の円安傾向で改善の兆しが見られた。長期的にはテストツール・分析ツールなどの拡販は伸長するものと予想される。今日、組み込みソフトウェアと言えば、情報家電、カーナビ、OA機器や携帯電話などだけでなく、自動車、医療機器、ロボットなど、より高度な安全性やセキュリティが求められる機器が急増している。各業界における規格準拠(自動車ISO26262、電気・電子機器関連IEC61508、医療機器IEC62304、など)のコンサルティングのニーズもある。
(5) 企業集団としてのブランドの強化 2016年9月に同社Webサイトのリニューアルを実施し、会社紹介映像などを作成している。また、泉岳寺の駅構内に同社広告を掲載している。同社の事業は、基本的にはBtoB(Business to Business:企業間の取引関係)の形態が主体である。しかし、今後の事業拡大には、知名度及び企業イメージ向上も必須として広告宣伝によるブランド強化を図っている。