■要約

ベネフィット・ワン<2412>は、他に類を見ない福利厚生・ポイント・健康を一体化したサービスを提供し、利用者の利便性を高めている。2017年3月期に株式を追加取得して連結対象としたシンガポール子会社は、シンガポールとマレーシアにおいて「HR Vendors of the Year 2016」を受賞した。国内事業にも、スマートフォンを利用する海外の先進的仕組みを導入することで優位性を高める。同子会社と呼応して、同社のシステム開発の一部をインドのIT都市バンガロールで実施すべく、現地法人の設立手続きを行っている。

1. 経営の独自性と優位性
「サービスの流通創造」というビジョンを、ユーザー課金型サービスマッチングサイト運営で実現するという独自性・優位性の高い経営を行う。ユーザー、経営者、サービス提供企業と同社の“四方良し”のビジネスモデルを築くことにより会員数は増加傾向にあり、2018年4月に900万人到達を計画している。ユーザーやサービス提供者のIT利用を促進することで、同社オペレーションの電子化が進み、高収益ネット企業の収益構造を作りつつある。2017年3月期は、ROEが29.1%、ROAも23.5%と優れた成果を上げた。

2. 業績動向−20%超の利益成長
2017年3月期は、売上高が前期比13.1%増、経常利益は同32.8%増加した。獲得会員数の増加やコストコントロールができたことで、計画を上回る大幅な増益を達成した。2018年3月期は、事業環境が追い風であり、前期比18.7%の増収、同21.3%の経常増益を予想する。好業績を反映して、1株当たり配当金は、2017年3月期が前期比14.5円増の48.0円、2018年3月期は57.0円へと大幅な連続増配を計画している。

3. 3つの成長誘発要因
人手不足、国策、ICTの普及が、中長期な成長誘発要因となる。大企業が自前の保養施設を所有していた時代の福利厚生は“ぜいたく品”であったが、現在の人手不足時代では“必需品”と化している。国が進める働き方改革では、同一労働同一賃金が謳われており、それには賃金だけでなく、福利厚生も含まれる。企業の福利厚生が正規だけでなく非正規従業員も対象となると、新たに約2,000万人の潜在需要が生まれることになる。ストレスチェックや健康ポイントなどの健康経営も需要を喚起する。ICTでは、個人のインターネット利用機器でスマートフォンが最もポピュラーになった。同社は、自社のITシステムをスマートフォン・セントリックに再構築している。また、クラウドサービスの提供により、中小企業やサービス提供者におけるデジタル化を進め、市場のすそ野を広げる。外部ベンダーも接続可能な無料ポータルサイトの提供も計画している。また、従来の福利厚生・報奨・健康や給与計算、小口精算、出張精算に、人事評価やタレントマネジメントを加え、職域で発生するビッグデータを収集・分析・活用することで、新たな付加価値を提供していく。

■Key Points
・人手不足の時代に、福利厚生サービスは必需品に
・「働き方改革」で対象市場が2,000万人拡大へ
・「HR Tech」によるビッグデータの収集・分析・活用をする

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 ベネ・ワン Research Memo(1):職域で得られるビッグデータの活用により新たな付加価値を提供へ