a) 保有機器 重量物の輸送には、特殊車輌やリフトが欠かせない。同社は、1983年よりドイツ製の特殊車輌「スーパーキャリア」を導入しており、第6世代機を含め計26台(104軸)を保有している。自社所有の特殊車両を使用した物流サービスは、収益性が高くなる。
b) 発電設備の輸送 スーパーキャリアなどの特殊車輌は、火力発電所の建設などに力を発揮する。同社は、30年以上にわたり京浜・京葉地区の湾岸火力発電所の新設・増設工事に携わってきており、環境にやさしい最新鋭の火力発電所の建設に当たっても輸送・据付能力が生かされる。
c) 橋梁の架替工事 特殊機材は、橋梁の架替などでも活躍する。あらかじめ組立てられた橋桁をスーパーキャリアにより所定位置 まで運搬し、ミリ単位の調整を行いながら据付する。不要となった既設の橋桁は、スーパーキャリアやスーパーテーブルリフトを用いて一体で撤去する。高速道路を夜間通行止めにし、数時間内に終了させなければならない工事では、事前に綿密な計画を立て、それを実現するためのオペレーション訓練を重ねて行う。2020年に開催される東京五輪に向け、交通インフラの工事における活躍の機会が期待されている。
a) 海外事業 同社のシンガポールにあるエンジリアリング子会社であるUTOC ENGINEERING PTE. LTD.(以下、UTOCエンジ)は、2010年4月にSHELLの世界最大規模の石油化学コンビナートの中核を担うエチレンプラントを完成させた。同子会社は、30社以上の主要業者が参加したプロジェクトにおいて、月間最優秀会社に3度(業者全体で2位)、最優秀品質保証会社に4度(同1位)選ばれるなど、SHELLより極めて高い評価を得た。
同子会社は、マレーシアの国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(以下、ペトロナス)が進める世界規模の石油精製・石油化学統合開発計画「RAPID計画」(Refinery and Petrochemical Integrated Development)のエチレン製造設備関連の受注に成功した。受注に先立ち、マレーシアにUTOC PLANT CONSTRUCTION SDN. BHD.を設立して準備をした。同子会社が担当するのは、分解炉6炉の据付工事及び配管据付・配管ラック設置工事になる。同計画は、マレーシア政府が2010年に策定した「経済変革プログラム」に基づき、ペトロナスがジョホール州南部に計画している石油ガス統合コンプレックスプロジェクトの中心となる。同社グループがこれまでシンガポールで培った多くの施工経験・知見を、マレーシアのプロジェクトに生かす。同案件は、2016年度の後半から2018年度にかけて営業収入に上がってくる予定だ。