■今後の見通し

2018年3月期通期についてサンワテクノス<8137>は、売上高126,000百万円(前期比8.1%増)、営業利益3,200百万円(同6.2%増)、経常利益3,450百万円(同7.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,150百万円(同35.7%増)と増収増益を予想している。

売上高は同社の中期経営計画『Challenge1500』で策定当初の計画と同じだ。営業利益以下は中期経営計画の当初計画を若干下回っているが、前提となる為替レートの違い(中期経営計画の前提は117円/ドル、2018年3月期予想の前提は110円/ドル)を考えると、実質的には中期経営計画の当初計画線の業績予想と評価できるだろう。

2018年3月期の事業環境は、基本的には前下期の流れが続くとみられる。中国における高水準のスマートフォン生産や活発なFPD関連及び半導体関連の投資が継続し、国内のFA関連メーカーにおいて繁忙が続く。そこに対して同社が求められる電機品や電子部品、生産設備等を納入するという構図だ。

市場・向け先別では、上述した構図を反映して、産業機械業界向け、FPD業界向け、半導体業界向けの電機品やFA機器向け電子部品などが引き続き好調を持続すると考えられる。また、自動車関連業界向けも、ADAS(先進運転支援システム)関連で自動車生産の動向とは別な動きとして同社の取扱品への需要が高まっており、今期も伸長が見込まれる。

こうした事業環境を反映して、今期は3部門ともに増収を計画している。電機部門は前期比10.9%増の23,000百万円、電子部門は同4.9%増の90,000百万円、機械部門は同29.3%増の13,000百万円と予想されている。また地域別内訳では、日本が同8.4%増の100,000百万円、アジアが同9.7%増の32,800百万円、欧米が同20.2%増の7,600百万円と予想されている(地域別売上高は内部売上高等を含んだ数値)。

2018年3月期の第2四半期累計期間(上期)の業績予想を見ると、前年同期比伸び率が非常に高くなっているが、これは前年同期の水準が非常に低かったためだ。同社では足元の受注・商談の状況から判断して、上期の業績予想の達成には不安要因は少ないとしている。一方、2018年3月期下期については為替レートの急変や地政学的リスクの高まりなどのリスク要因は否定しきれないとして、慎重にみている。しかし、ビジネスの実態面では、需要が急減するような要素や兆候は見当たらないとしている。こうした状況から、想定外のリスクが顕在化するようなことがなければ、今通期の業績見通しには上振れ可能性があると弊社では考えている。

2018年3月期においても、中期経営計画の中心的施策であるエンジニアリング事業及びグローバルSCMソリューション事業の進捗状況は注視すべきポイントであるのは変わらない。特にエンジニアリング事業では、成長戦略の項で述べたように、前期からエンドユーザーとの直接的なエンジニアリング事業の商談が動き出している。これが同社にとって大きな商流となっていくのかどうか、ポテンシャルが大きいと考えられるだけに、大いに注目していきたい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 サンワテクノス Research Memo(10):2018年3月期は中期経営計画の当初計画に沿った水準で増収増益を予想