■成長戦略

4.成長戦略の具体策2:集客力の向上・購入機会の拡大
集客力の向上・購入機会の拡大の具体策として、広告展開の強化と、新商品・関連事業の開発推進が掲げられている。前述のように、マルコ<9980>がこれまで直面してきた問題点は新規顧客の獲得が進まなかったことであり、これに対する同社の第1の回答が広告展開の強化だ。

同社の顧客の年齢層は20代と30代が約70%、40歳以上の世代(シニア層)が約30%という構成となっている。同社は今回の広告展開は20代~30代の主力層とシニア層の両方をターゲットにしているが、広告の出し方は各世代の特徴やニーズに合わせてやり方を変えている。

シニア層向けには29分のインフォマーシャル(インフォメーションとコマーシャルの合成語)を投入し、体型補整下着の特長・機能をじっくりと説明する戦略を採用している。シニア層は十分納得しないと購入しないという特徴があり、それに対応したものだ。シニア層向けインフォマーシャルは2017年3月期から投入を開始しており、40歳以上の顧客増加という形で効果・手応えを実感できているもようだ。

20代~30代向けの広告はRIZAP同様、短時間でインパクトのあるコマーシャルを投入して、同社の知名度向上や高級ランジェリーブランドとしてのブランディング強化に主眼を置いたものとなるもようだ。こちらは現在制作中で、2018年3月期の途中からの投入となる見通しだ。

第2の回答である新商品・関連事業の開発推進では、6番目のブランドとなる『m_fit』が注目される。m_fitは2017年3月期にリリースされ、低価格帯であることと、ECによる販売を前提としている点で既存の商品シリーズと異なっている。価格的には、主力の『カリーユ』など既存の5シリーズのブラジャーが3万円台半ば~4万円台の価格帯にあるのに対してm_fitの商品は12,852円(税込)と3分の1程度となっている。m_fitのリリースにより、低価格をセールスポイントにする競合他社に真正面から対抗する体制ができた。2018年3月期はm_fitを本格的に拡販し、集客力向上につなげる方針だ。

集客力の向上では、RIZAPグループ、とりわけRIZAP事業とのコラボレーションも重要なポイントだ。この点についてはコラボ商品開発などの施策が掲げられているが、即効性のあるのは相互送客だ。既に試験的な取り組みは始まっているが、本格展開はこれからのもようだ。弊社では、RIZAP⇒マルコの流れの方がポテンシャルとしては大きいのではないかとみている。RIZAPプログラムでボディメイクを行った顧客がより完璧な美を求めて体型補整下着を使用するという流れを創り出すことは十分可能であろう。これまで同社自身はフィットネスクラブを競合関係と捉えていたが、RIZAPグループ傘下に入ったことで、フィットネスクラブ(RIZAP事業やSDエンターテイメント<4650>のSDフィットネス事業)とは相互補完関係にあると考え、その前提で広告や各種施策を考えていくのも有効ではないかと思われる。これがある程度軌道に乗れば、グループ外のフィットネスクラブからの集客の道筋を構築することも可能になるのではないかと弊社では期待している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 マルコ Research Memo(10):各世代に適した効果的な広告宣伝と低価格ブランドの投入で新規顧客獲得を狙う