■要約

ダイヤモンドダイニング<3073>は、首都圏を中心に多ブランド展開による飲食事業を主力とするとともに、ダーツやビリヤード、カラオケなどのアミューズメント事業も手掛けている。保有ブランドの多様性を生かしたブランドマネジメント制とドミナント展開に特徴がある。75ブランド直営店舗273店舗(海外を含む)を有しているが、そのうち、山手線沿線内には居酒屋業界トップクラスの192店舗(全店の71.1%)を出店している(2017年2月末現在)。

「世界一のエンターテインメント企業グループ」をビジョンに掲げ、「VAMPIRE CAFE(ヴァンパイアカフェ)」や「アリスのファンタジーレストラン」「ベルサイユの豚」など、個性的な人気ブランドを生み出してきた業態開発力には定評がある。同社は、環境変化に機動的に対応するとともに持続的な成長を実現するために、これまでの成長を支えてきたマルチコンセプト戦略とマルチブランド戦略を融合。両戦略を活用した独自のブランドマネジメント制を導入し、高収益ブランドを軸とした更なる成長に向けてかじを切った。2016年7月には「アロハテーブル」(ハワイレストラン)等の店舗ブランドを展開するゼットン<3057>との資本業務提携※を締結すると、2017年6月1日からの連結化を決定。2017年4月には「chano-ma」「石塀小路豆ちゃ」等の店舗ブランドを展開する(株)商業藝術の完全子会社化を発表しており、2017年6月1日からの連結化が決定している。2017年9月1日からは持株会社体制へ移行する予定であり、成長加速に向けて体制が整ってきた。

※2016年9月1日より公開買付けにより持分法適用関連会社としている。


2017年2月期の業績は、売上高が前期比2.3%増の30,509百万円、営業利益が同72.2%増の1,641百万円と過去最高の売上高、営業(経常)利益を更新した。2016年2月期出店分(43店舗)の通年寄与や2017年2月期出店分(21店舗)が増収に寄与した。また、既存店売上高(国内)も前期比101.6%と厳しい業界環境の中で好調に推移している。利益面でも、原価低減に加えて、販管費の抑制や増収効果により大幅な増益を実現し、営業利益率も5.4%(前期は3.2%)に大きく上昇した。

2018年2月期の業績予想について同社は、売上高を前期比4.1%増の31,769百万円、営業利益を同8.5%減の1,501百万円と増収ながら営業減益を見込んでいる。なお、ゼットンについては、2017年6月1日からの連結化を決定しているが、期初予想については前期と同様に持分法投資損益として一旦計上していることに注意が必要である※。前期出店分の通年寄与や今期出店分(17店舗を予定)が増収に寄与する見通しである。また、ウェディング事業も国内(京都市東山区)の本格稼働(2017年10月)や海外(ハワイ)の伸長により大きく拡大する想定である。一方、利益面では、国内ウェディング事業の開業費用などにより営業減益を見込んでいる。

※6月1日付で連結子会社化するゼットンと商業藝術を連結子会社化につき、それを反映した通期業績予想を第2四半期に公表する予定である。


同社は、シンガポールからの撤退やゼットンの連結化などを踏まえ、改めて中期経営計画を公表する予定である(第2四半期公表予定)。弊社では、「わらやき屋」や「九州熱中屋」などの高収益ブランドを軸とした出店拡大やウェディング事業の本格稼働、海外事業の拡大のほか、新業態(非アルコール業態を含む)や新規事業(インバウンド関連など)への展開により、持続的な成長を目指す方向性に大きな変化はないものとみている。また、ゼットンとのシナジー創出がハワイ事業の拡大(ウェディング事業を含む)や米国本土への進出などにおいて、成長を後押しするものと評価している。2020年2月期の売上高500億円、営業利益30億円の成長イメージ実現に向けて、追加的なM&Aを含め、今後の成長戦略の進捗に注目していきたい。

■Key Points
・2017年2月期は増収増益となり過去最高の売上高、営業(経常)利益を更新
・ゼットンと商業藝術連結化(2017年6月1日から)により事業シナジーの早期実現を目指す
・2018年2月期は国内ウェディング事業の開業費用等により増収ながら営業減益の見通し
・ゼットンと商業藝術の連結化などを踏まえ、改めて中期経営計画の公表を予定(第2四半期公表予定)

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 ダイヤモンドD Research Memo(1):17/2期は過去最高の売上高、営業利益を更新