■業績動向

3. 財務状況と経営指標
ワールドホールディングス<2429>の2016年12月期末の財務状況を見ると、総資産残高は前期末比17,062百万円増加の73,392百万円となった。主な変動要因を見ると、流動資産では現金及び預金有価証券が4,701百万円増加したほか、不動産事業において2017年12月期以降の新たな事業用地の取得を進めたことで、販売用・仕掛販売用不動産が10,664百万円増加した。また、固定資産では有形固定資産が895百万円増加した一方で、のれんが511百万円減少した。

一方、負債合計は前期末比13,495百万円増加の57,928百万円となった。事業用地の購入資金として有利子負債が10,997百万円増加したほか、未払費用が592百万円、未払消費税等が723百万円増加した。また、純資産合計は前期末比3,566百万円増加の15,464百万円となった。親会社株主に帰属する当期純利益の計上で利益剰余金が3,468百万円増加したことが主因となっている。

経営指標を見ると、財務の安全性を示す流動比率や自己資本比率はほぼ前期末と同水準となったが、有利子負債比率は前期末の289.5%から297.5%に上昇した。ネットキャッシュ(現金及び預金・有価証券−有利子負債)も、前期末の-20,179百万円から-26,475百万円とマイナス幅が拡大しており、財務の安全性という面においてはやや悪化したと言える。現在の収益水準や超低金利が続く市場環境下においては、財務リスクを懸念する必要はないと考えられるが、同社では今後、財務体質の改善を進めていくため、不動産事業においてストック型ビジネスの強化を進めていく方針となっている。毎月一定の売上収入が入る賃貸管理事業やユニットハウスのレンタル事業、事業期間が短いリノベーション事業などを育成していくことでキャッシュ効率を高め、財務体質の改善を進めていく戦略だ。

収益性については、ROEが前期末の41.8%から33.5%に低下したものの、ROAは10.0%から11.3%に、売上高営業利益率は5.8%から7.9%にそれぞれ上昇した。ただ、主因は不動産事業における土地売却益の影響が大きく、2017年12月期の収益性は、その反動によって若干低下するものと見込まれている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 ワールドHD Research Memo(5):有利子負債の増加で財務体質はやや悪化するも、収益性は向上