b) 後出血予防材のCEマーキング取得に関して なお、欧州では「PuraStat®」について、後出血予防材としてのCEマーキング承認を目指している。消化器内視鏡治療後の再出血により治療部位が悪化し、再手術・再入院となるケースが5〜20%程度あるが、止血効果のほか創傷治癒効果もある「PuraStat®」を用いることでこうしたリスクを軽減させることが可能となる。患者負担が軽減されるだけでなく、医療財政負担の軽減にもつながるため、潜在需要は大きいと見られる。当初は2017年4月期中の承認取得を目指していたが、承認取得時期は2018年4月期にずれ込む見通しだ。
c) 次世代止血材について 欧州では次世代止血材「PM03」の開発も進めている。「PM03」は「PuraStat®」と比較して止血効果が高いこと(短時間で完全止血)に加えて、低コストで製造できることが特徴として挙げられる。「PuraStat®」はRADA16と呼ばれるペプチド配列だが、「PM03」はこれより少ない配列数となっているため、製造コストが若干低くなる。また、「PuraStat®」は冷蔵保存が必要であったが「PM03」は常温保存が可能なことも長所となる。移動や保管等の際は常温保存のほうがコスト面で有利なため、医療施設も導入しやすい。一方、マイナス面としては粘性が高いため、カテーテル等の細い管を通して使用部位に注入する用途では不向きとなる。このため、今後は消化器内視鏡治療では粘性の低い「PuraStat®」で、臓器出血や消化器外科手術では止血効果の高い「PM03」で、市場を開拓していくことが予想される。欧州では2017年中にヒトでの臨床試験を開始し、CEマーキングの承認取得を目指していく方針となっている。