■SDエンターテイメント<4650>の業績動向

2. フィットネス事業
フィットネス事業の第3四半期累計期間の業績は、売上高1,545百万円(前年同期比6.9%減)、営業利益201百万円(同15.5%増)で着地した。売上高は埼玉県・新所沢店を2016年3月に閉鎖した影響や、三重県・津店を津藤方店に移転するに際しての2ヶ月間の休業影響により、前年同期比で減収となった。一方利益面では、不採算店舗の閉鎖による損益改善や既存店売上高の前期比プラスの確保、新装の津藤方店で在籍数が休業前に比較して480名と大幅に増加したこと、などの要因により、前年同期比で増益を確保した。

今第3四半期決算でのトピックスは2点ある。1つは既存店売上高が上昇基調をたどっていることだ。今第3四半期累計期間では、前年同期比で102.6%(2.6%増)となった。既存店売上高伸長の背景には、ホットヨガのリニューアルやエクササイズプログラムの見直しなどの地道な工夫が貢献しているもようだ。同社はスピニングバイクなどエクササイズプログラムを各店舗で展開し、新規会員増や既存会員のアクティブ化などに努めてきた。エクササイズは人気・不人気の波が激しいため、一定期間でプログラムを入れ替えることが必要になるが、今第3四半期にはハンモックヨガなど新プログラムの導入を行った。

もう1つの注目点は、津藤方店への移転での成功だ。津店のリニューアル直前の約1,900名の在籍会員数に対して、津藤方店は、約500名増の約2,400名の在籍会員数でスタートを切ることができた。この要因については、従来会員がほとんど減少しなかったため、リニューアル効果による新規会員の増加がそのまま純増につながったことが大きい。ポイントは、2ヶ月間の休業を挟んだにもかかわらず、従来会員をほぼそのままキープできた点だ。

まず、津店のスタッフが、日々のコミュニケーションの中で会員との信頼関係を築き上げていたことがある。その上で、既存会員へのきめ細かいフォローや、つなぎとめのための臨時イベントなどを開催し、顧客流出の食い止めに成功した。同社は津藤方店の事例をベストプラクティス(最良のお手本)としてマニュアル化し、全店舗で共有することを既に始めている。

リニューアルに一定の新規会員獲得の効果があるのは、過去の経験から確認できている。しかし現実には既存会員が減少するため、会員数の純増にはつながらないことも多く、費用対効果の観点からリニューアルにためらうことも多かったとみられる。同社は、津藤方店の成功事例でリニューアルの成功に対する自信を深め、来期以降、費用対効果が高い水回りの部分リニューアルを順次行っていく方針だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 SDエンター Research Memo(4):既存店売上高が前年同期比プラスを堅持。不採算店舗の減少で採算性が改善