■注目すべき内容

2. 視覚再生プロジェクト
JIG-SAW<3914>は、テクノロジーとバイオロジーの融合で細胞制御についても成長戦略の1つに位置付けている。そのうちの1つは、視覚再生プロジェクトである。眼の3大疾患と言われる緑内障、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性症などで失明した人が多くなっているが、同社の視覚再生プロジェクトは、このように失明した人の中で、まず最初に網膜色素変性症の患者が再び視覚を取り戻すことが可能となるプロジェクトから開始する。通常、失明した人は、眼球の瞳の反対外に位置する網膜に機能異常が発生し失明することが多いが、その場合でも神経節細胞が生きているケースがあり、同社のソフトウェアはその生きている神経節細胞に光受容可能な遺伝子治療薬のタンパク質の処方後にダイレクトに色信号を補正して脳に送るというものである。失明した人は視覚再生用プリズムグラスという特殊眼鏡をかけることで視覚を再び得ることが可能になる。

驚くべきは、その実現時期である。素人の勝手な想像で、数十年後の実用化というイメージを持っていたが、同社は実用化に向けたグラス装着による臨床研究を早ければ2018年にも開始する計画という。ここで言う実用化とは、家族の表情や文字を明確に認識できるようになることを指す。また、視覚再生用プリズムグラスは高額な買取りによらず、利用料による料金設計を検討しており、利用しやすい設計となる見通し。加えて、同社は再生医療には同社のソフトウェアが必要となると見ており、iPS細胞等の実用化時点においても同社の色信号制御技術が採用されることも期待される。同社の色信号制御による独自アルゴリズム等は特許出願済みである。根幹技術である信号制御技術(DSP)は当然のことながら視覚だけでなく、将来的には、聴覚、味覚、手足の動作までの制御が可能となるようだ。実用化されれば多くの患者にとっての救いの光となるだろう。

経済産業省の調査報告書によると、世界の再生医療市場規模は、2012年に3,400億円、2020年に2兆円、2030年に17兆円、2050年に53兆円(うち、製品・加工品は38兆円、周辺産業は15兆円)に急成長すると予測されており、また、国内の市場規模も2050年に3.8兆円に拡大する見通し。

3. 強み
同社の強みは、1)運用会社でありながら、OSメーカーとしてサーバ専用のLinux OSの開発で培ったノウハウ・コンピュータ基盤技術を有すること、2)顧客ニーズをキャッチする直販の営業力があること、3)モビコムの子会社化により信号制御技術・組み込み技術等のIoTデバイス(ハードウェア)そのものへの直接的な関与が可能となったほか、エッジ(先端)まで対象領域を拡大し、IoTデータ・コントロールに関連した様々なサービスを提供できる体制を業界に先駆けて構築していることなどを挙げることができる。これらが、前述したIoTの産業分野への拡大や再生医療プロジェクトなどを生み出すに至った背景となっている。

直近3ヶ年において売上高は前期比29.9%~68.9%増、営業利益は同63.2%~152.1%増と大きな伸びを示していることから、弊社では、少なくとも今期以降数ヵ年で年30~60%程度のオーガニック売上高成長率(IoTの産業用途の本格普及や視覚再生プロジェクトを除く)は達成可能と見ている。

(執筆:フィスコアナリスト 清水 さくら)



<NB>

情報提供元: FISCO
記事名:「 ジグソー Research Memo(4):早ければ2018年にも実用化に向けた臨床研究を開始へ